災害復旧工事に「レトロフィットキット」活用

株式会社中川組・株式会社熊野組 JV様
稼働事例紹介 PC200-11スマートコンストラクション・レトロフィットキット装着車

土木工事業の㈱中川組（玉名市河崎、中川徹治社長）は、熊本地震からの復旧工事として震災により発生した土の掘削やトラックへの積み込みなどで、ICT機能を提供する後付けキット「スマートコンストラクション・レトロフィットキット」（以下・レトロフィット）を導入、安全で生産性の高い工事を実践している。同社の城戸管理部長に機械を導入した経緯や機械の特徴、メリットなどについてお話しをお聞きした。

（写真：インタビューに応える㈱中川組工事部管理部長　城戸昌信様（左）㈱熊野組土木部工事主任　灰本博文様（右））

安全で生産性の高い災害復旧工事を実践

大正時代の創業という長い歴史を持つ㈱中川組様。現在、熊本県阿蘇郡南阿蘇村の栃の木地区で㈱熊野組様とのJV（建設工事共同企業体）により、2016年に発生した熊本地震からの災害復旧工事を進めている。2020年6月5日に着工したこの現場では、コマツのレレトロフィットを導入し、トラックへの積み込みを中心に掘削作業を行っており、仕上げ作業には「PC128USi-10」（インテリジェントマシンコントロール搭載機）を活用頂いている。レトロフィットはコマツが昨年、発売を開始した商品。既存の従来型建機に3DマシンガイダンスといったICT機能を提供する後付けキットで、安全かつ生産性の高い現場の実現に貢献している。

（写真：タブレットで施工の進捗、トラックの運行状況を確認）

マシンコントロール機とマシンガイダンス機の適材適所

「今の現場は工期が長いため、従来から流通している「PC128USi-10」という高機能なICT建機だけではなく、新商品の「レトロフィット」を導入し使い分けをすることで、費用対効果につながると感じました」。中川組の城戸管理部長は、レトロフィットを導入した経緯をこう説明する。また、機械のメリットについては「比較的安価な予算で、ICT機能を簡易的に組み込み、一般的に流通しているICT建機に見合う働きをしてくれる点が大きな利点だと感じています」と続ける。

（写真：PC200-11 レトロフィット装着車（左）　PC128USi-10 マシンコントロール機（右））

膨大な量の土砂運搬を行っている栃の木地区の現場では、現状仕上げに関しては精度の確保が容易なマシンコントロール機のPC128USi-10を使用し、作業量の多い荒掘削はマシンガイダンス機のPC200-11レトロフィット装着車を使用しているが、「今後はある程度、レトロで仕上げをしながら同時に積み込みもできるようになれば、価格的な面でのメリットがさらに生まれてくると思います」という。今回の現場と同じ機械の使い分けで、玉名市内における別の現場でも道路改良工事を実施した中川組。城戸管理部長は「性能や予算を踏まえて、この機械がもっと全国に普及していけばうれしいですね」と語っている。

（写真：複雑な法面が造成された栃の木地区の全景）

2022年3月の完成を目指し、栃の木地区で進む災害復旧工事。数ある建設機械メーカーの中からコマツを選ぶ理由について城戸部長は「時代の変化とともに、建設業のICT化が進んでいますが、ICTの推進に関してはコマツさんが国内では最先端を走っていると感じていますし、また3次元設計データを作る場合も自社で対応されています。そして何より、確固たる社会的な信用力を持っていらっしゃることが、導入の決め手になりました。当社も一企業として、ICT対応の水準がまだまだ低いため、さまざまな提案を活用しながら、ICTの推進に関して追随していければと思います」と語る。

（写真：床掘を荒掘削するレトロフィット装着車）

「メーカー同士が協力し、統一規格を」

一方で、コマツに対する要望として「今の現場では、若い世代から高齢者まで幅広い社員が機械を運転していますが、若い社員だけでなく、高齢者にも操作の面など使い易さを考えて造っていただければと感じています。メーカー間における商品の差別化戦略はもちろん大事ですが、ICTなどの機械性能や付加機能、重機における操作パネルの使い方などで、メーカー同士が協力して統一規格を作っていただければ、建設業におけるICT化を推進するという側面からも大変良いと思いますし、個々の商品もさらに販売が促進されていくのではないでしょうか」と話している。

（写真：ペイロードメータを使い過積載を防ぐ）