物流を止めない。港から社会を動かし続ける

三陸運輸株式会社は、貨物の特性や作業内容に応じた機械で東北の港湾物流を支える。

創業から85年、受け継がれた仕事への姿勢

宮城県の仙台塩釜港を拠点に、港湾運送事業、コンテナターミナル事業、複合一貫輸送事業、倉庫業などを展開する三陸運輸株式会社。同社は、戦中・戦後の混乱や災害を乗り越えながら港の仕事を守り、1971年の仙台塩釜港の開港後は活動区域を拡げ、事業の幅を拡大。現在では、東北の港湾物流を担う企業へと成長した。その歩みの根底にあるのが、「原則、仕事は断らない。やり遂げる」という考え方だ。貨物や荷役条件が異なっても、できない理由を探すのではなく、どうすれば実現できるかを考え、技術と経験を積み重ねてきた。「諸先輩方がさまざまな困難を乗り越え、努力を重ねてきた結果が、今の三陸運輸につながっています」と代表取締役社長の髙城崇充氏は語る。その姿勢は今、「現場を止めない」という責任感に受け継がれている。

(写真:三陸運輸株式会社
代表取締役社長 髙城崇充 氏)

コンテナから重量物まで、港の流れをつなぐ

仙台塩釜港は、東北エリアで最も多くのコンテナを取り扱う港だ。定期的に寄港するコンテナ船が安定した貨物量をもたらし、コンテナ事業は同社の重要な基盤となっている。一方、同社が扱うのはコンテナだけではない。鋼材や木材、スクラップ、石炭、鉱物原料など、形状や重量の異なる貨物に応じて荷役を行い、保管し、陸上輸送までの工程をつなぐ。多様な貨物を確実に次の場所へ送り出すことが、同社の役割である。

FH50-2が担う港湾荷役の最前線

 港湾物流の各工程で重要な役割を担っているのが、コマツの大型フォークリフトFH50-2だ。本船から揚げられた貨物の車両への積み込みや、倉庫への入出庫、倉庫内での荷役などに使用されている。同社が扱う貨物には重量物も多く、荷を確実に扱う力と、船の運航スケジュールに合わせて安定して作業できることが求められる。重量物を扱うFH50-2は、海上コンテナ用港湾モデルだ。ローマスト、低ヘッドガードに加え、ロングフォークとショートフォークを脱着でき、貨物や作業環境に応じて使い分けられる仕様となっている。

 港湾荷役では、周囲の人や車両の動きを把握しながら、限られた時間のなかで作業を進める必要がある。オペレーターにとって、意図したとおりに建機が動き、長時間の作業でも身体への負担が少ないことは重要だ。FH50-2を操作するオペレーターの中村誠氏は、その乗り心地と操作性を評価する。「走行している間の揺れが柔らかく、腰への負担が少ないので乗りやすいです。レバーも自然に操作でき、違和感なく荷役に集中できます」と中村氏は話す。
倉庫内での運搬作業を行うFH50-2
三陸運輸株式会社
オペレーター 中村誠 氏

貨物と現場に応じて活躍する建機

 港湾では、ホイールローダーWA470も活躍する。石炭やミルスケール、ベントナイトなどのばら貨物を積み込む役割を担い、FH50-2とは異なる作業に対応している。

 また、子会社の三陸サービスが担当する現場では、コマツのフォークリフトFE30G-2を飼料の運搬に使用している。同機は、「サヤ式クレーンアーム外れ止め付き」の専用アタッチメント仕様となっており、2本のフォークの先端に一袋500kgの飼料をそれぞれ掛け、合計1tの荷物を一度に運搬できる。FE30G-2を操作するオペレーターの谷尚幸氏は、「動き出しがゆっくりで、旋回するときも安心して操作できます。荷物を持ち上げる力にも不足は感じません。座席のシートも柔らかく、長時間乗っていても腰への負担が少ないです」と話す。貨物が変われば、最適な荷役方法も変わる。従来の方法にとらわれず、貨物の特性や作業内容に応じて必要な機械や仕様を取り入れる姿勢こそ、同社の幅広い対応力の源だ。
2本のフォークで、合計1tの荷物を一度に運搬可能
※専用アタッチメントを取り付け、安全を確保して撮影しています
三陸サービス株式会社
オペレーター 谷尚幸 氏

10年先を見据えた建機選定

 港湾荷役では、1台の建機が停止すると、その前後の工程にも影響が広がる。船の運航スケジュールに合わせて作業を進めるには、必要なときに確実に稼働し、不具合が生じた際にも速やかに復旧できることが重要だ。そのため同社では、購入時の価格だけでなく、故障の少なさや耐久性、修理費、部品供給、サービス対応までを含めて機械を選定している。

 髙城社長がコマツ機の導入を後押しするようになった背景には、東日本大震災後、コマツ物流との仕事を通じて築いた関係がある。購入価格だけを見れば安価ではなかったが、長期間の使用や維持費まで考えれば価値があると判断した。「建機は10年、15年と長く使います。購入時の価格だけでなく、その後の修理費や整備まで考えなければ、結局は安価な実機でも安い買い物にはなりません。現場にとって一番大切なのは、故障が少なく、安心して使えることで す」と髙城社長は語る。
ホイールローダーのボルトが破損した際には、連絡を受けたコマツ社員が速やかに現場へ駆けつけ、その場で交換したという。長期にわたる安定稼働と万が一の復旧までを見据えた建機選定が、「現場を止めない」という責任感を下支えしている。

港から人々の暮らしと産業を支え続ける

 日本の輸出入貨物の多くは港を経由する。海外から届いた原料や製品は国内各地へ送り出され、国内でつくられたものは港から世界へ運ばれる。その貨物の流れをつなぐ港湾荷役は、暮らしと産業に欠かせない仕事だ。三陸運輸は85年にわたり築いてきた信頼と、多様な貨物に応えてきた経験を力に、これからも世界への玄関口で人々の暮らしと産業を支え続ける。