ICT施工で進化する港湾工事

株式会社竹内組は、ICT施工で “見えない現場”を可視化し、高精度かつ効率的な施工を実現。

多角的な事業をワンストップで提供

 青森県の津軽半島中央部に位置する北津軽郡中泊町に本社を構える株式会社竹内組。1967年の創業以来、地域に根差した建設会社として成長を続けている。

 事業領域は土木工事をメインに解体、建設機械リース、再生砕石、産業廃棄物処理、リサイクルなど、多角的な事業を展開。さらに、多彩な建機を豊富に保有しており、施工から運搬、処理までを自社内で完結できる体制を整えている。「お客さまの多彩なご要望にも、ワンストップでスピーディーに対応できます。この機動力が当社の強みです」と代表取締役の竹内大介氏は語る。

(写真:株式会社竹内組
代表取締役 竹内大介 氏)

不発弾探査から始まる港湾工事

 同社では青森港油川地区において、洋上風力発電設備開発に伴う基地港湾工事に携わっている。基地港湾とは、洋上風力発電設備のブレードやタワーといった資機材を取り扱い、設置や維持管理の拠点となる重要なインフラのことだ。巨大な資機材を搬入・設置するため、岸壁整備や地盤改良などの大規模な工事が行われる。

 港湾工事では、戦時中に投下された焼夷弾などの不発弾が海底に残存している可能性があるため、事前に磁気探査が行われる。探査を行うためには、まず安全が確認されている所定の深さまで浚渫を実施。その後、船から磁気探査機を海中へ下ろし、不発弾の有無を確認する。現場では海底から3.8mを掘削し、その更に下2mを磁気探査で確認。磁気探査によって不発弾がないことが確認されると、掘削した土砂を再び海中へ埋め戻す。

正確で効率的な海中工事を実現するICT

海底面の掘削は、PC300i-11やPC200LC-11といった油圧ショベルが行う。PC300i-11にはエクステンションアーム、PC200LC-11にはスーパーロングアームが装備されており、海底から3.8mを浚渫するための特別仕様だ。掘削された泥は、アーティキュレートダンプHM400-5やHM300-5に積み込まれ、一時置き場へ搬送される。そして、土砂移動後の整地にはD37PLL-24などのブルドーザーが活躍する。多様な建機が連携しながら、大規模な基地港湾工事は進められている。

この海中での浚渫工事は、港湾工事のなかでも難易度が高い作業となる。陸上工事のように丁張の設置ができず、海水の濁りによって、バケットの位置や海底面を目視で確認することも難しい。この海中工事に高い施工精度と効率性をもたらしたのがICT施工だ。「ICT施工であれば、モニター上で施工位置や深さを確認しながら、3D図面どおりに作業を進めることができます。視界を確保できない海中でも、状況を正確に把握しながら確実に施工できます。ICTがない環境での港湾の浚渫作業は、もう考えられません」と工事部課長補佐の鈴木精一氏はICT施工の有用性を説明する。海中という“見えない現場”において、ICTが施工精度と安全性を大きく向上させている。
株式会社竹内組
工事部 課長補佐 鈴木精一 氏
軟弱地盤でも高い作業性を発揮する、抜群の低接地圧を誇るD37PLL-24
一時置き場で土砂を排出するHM400。大量の土砂を効率的に搬送・集積している

ICTが人材の早期戦力化を実現

 同社では、ICT施工が建設業界で本格的に普及し始めた当初から、積極的にICTの導入を進めてきた。「ICTの導入によって、作業は大きく効率化しました。丁張の設置が不要になり、手元作業員を減らすことができ、人件費の削減につながるだけでなく、安全性の向上にも大きく貢献しています」と、オペレーターの平山義人氏は語る。

 ICT導入で特に大きな効果を感じているのが、人材活用の側面だ。「若い人材を早い段階で戦力化できるのは大きいですね。従来はオペレーターの育成に5年ほどかかっていましたが、ICTであれば2年ほどで一人前のオペレーターとして現場を任せられるようになります。少人数でも効率的に現場を回せるようになりましたし、若いオペレーターのモチベーション形成にもつながっています」と竹内社長は話す。建設業界において人材不足が課題となるなか、ICTは若手育成のあり方そのものを変えつつある。
株式会社竹内組
平山義人 氏
エクステンションアームを装備したPC300i-11。ICT施工により高精度な浚渫工事を行っている

データの一元管理でスムーズな運用

 現場を管理するうえでもICTは大きく貢献している。進捗や施工データを一元管理するSmart Construction Dashboardは、現場のスムーズな運用には欠かせないツールだ。施工済みエリアや掘削量がリアルタイムで表示され、残りの作業量も即座に把握できるため、高精度な施工管理を実現している。特に、今回のような海中という“見えない現場”では、その効果は大きい。データによって施工状況をリアルタイムで可視化することで、効率的かつ的確な施工管理を支えている。

 また、同社はICTへの取り組みを通じて、コマツとの関係を深めていった。コマツは現場でのICT施工サポートだけでなく、図面の3D化や衛星基地局の設置提案など、施工全体を支える幅広いサポートを行っている。「コマツには提案力があり、それをスピーディーに形にしてくれる行動力があります。ICT施工は当社の得意分野ですが、その取り組みを支えてくれているのがコマツです。当社にとって欠かせないパートナーです」と鈴木課長補佐は語る。

地域社会を未来へと牽引

 竹内組では「地域と共に未来へ」を企業理念に掲げ、地域社会に欠かせない存在を目指している。豪雪地帯ならではの冬場の除雪作業にも対応。さらに、災害発生時には、いち早く現場へ駆けつけられる体制を整えるなど、地域インフラを支える企業としての役割を果たしている。

現在は下請け工事が中心となっているが、今後は元請け比率を高めていく方針だ。そのためにも、これまで以上に確実で精度の高い施工を積み重ね、地域から信頼される企業であり続けたいと考えている。ICTによる進化と地域に根差した企業力。その両輪を武器に、竹内組はこれからも地域の未来を支えていく。