Daichi Report

過去の軌跡が 未来を拓く

中古建機販売で挑む、コマツの中古建機とコマツブランドの更なる価値の向上
世界のコマツグループで唯一の中古車事業専業会社であるコマツクイック株式会社。建機製造会社を中心とするグループの一員だからこそ可能となる独自のビジネスモデルを通して、コマツ建機の価値向上と、昨今、注目されている資源循環に寄与する。

日本の中古建機の価値を上げ、次のステージへ送り出す

 コマツクイック株式会社(以下、KUEC)では、主に海外のバイヤーに向けたネットオークション販売を行っているが、そのビジネスモデルは一般的な中古建機販売とは一線を画す。
 KUECでは、仕入れた建機をすべてメカニックのプロが点検し、不具合箇所を含めた「建機の使用歴」を開示したうえでオークションにかけ、購入者が価値を決定する。
 また、仕入れ販売のルートにも特徴がある。それは、コマツグループ内のレンタル部門から稼働年数5年前後の建機を調達し、「循環車」として販売することだ。この仕組みによって高品質な中古建機の供給を実現しており、代理店経由で販売した建機のなかには、中古品でありながらコマツの保証が付くものもある。これらが強みであり、高い信頼性につながっている。
仕入れた建機の点検を行うメカニック
そして、KUECならではの特性は、母体が建機製造会社だからこそできる現地事情に合わせたローカライゼーションだ。例えば、油圧ショベルはアタッチメント交換で多用途化が可能だが、アタッチメント(ATT)を使用するには追加の油圧配管が必要となる。日本では業種ごとに建機を使い分けるため、ATT配管なしで購入されることが多い。しかし、汎用性を求める海外市場ではATT配管があるものが好まれるため、仕入れた中古の油圧ショベルに後付けでATT配管を追加し販売している。また、輸出国の法規によってそのままでは使用できない場合は、該当部品を取り外して対応し、その外した部品は部品・リマン推進本部を中心に生産・開発部門と協力し再利用する。このように、建機の活躍する場所に合わ せてカスタマイズすることで、中古建機の価値向上と資源循環に貢献している。
KUEC横浜センター内に保管されている建機、フォークリフト

適材適所で広がる可能性。 KUECがつなぐ建機の次の現場

 中古建機業界において、日本国内では製造年度が古いものは生産財として敬遠されがちだが、海外市場では新しいモデルよりも人気を博するケースがある。こうした需要のある次の市場へと仕入れた建機をつなげるのもKUECの役割の一つだ。取材時にセンター内にあった最も古い建機は1979年製でありながら、オークションで200万円近い高値がつき、海外に送り届けられるのを待つばかりだ。 
1979年製ホイールローダー 海外での活躍が期待される
コマツクイック株式会社 代表取締役社長
東海林隆樹 氏

中古建機の活躍が教えてくれる、新しい視点

 「建機は、故障や不具合がないか点検して、必要なメンテナンスを行って使用すれば長生きします。セカンド、サード、フォースと建機は活躍の場を変えていき、それぞれの場所ごとに求められる用途で使用される。海外では、日本国内のように想定された用途で丁寧には使われないことも多い。そういった場面や環境で評価されること、これこそが最もバリューのあるものではないかと考えています。なので、国内のコマツの機械をたくさん集めて海外へ販売し、いろいろなところで使ってもらう。そこから得た評価やフィードバックを製品開発に活かし、より良い製品を世に出す。このサイクルを通じて、最終的にはコマツブランドの価値自体を上げていきたいと考えています」と代表取締役社長の東海林隆樹氏は語る。
 建機の人生は長い。日本国内で役目を終えたあとに続く、建機の人生すべてを把握する努力が未来をつくると信じ、KUECはこれからも中古建機を通してお客さまに寄り添い続ける。