掲載日:2026年10月14日
私は建設業を営む中小企業の経理担当者です。
当社は創業10年目を迎えました。これまで毎期黒字を計上してきましたが、当期(第10期)は受注工事の減少に加え、資材価格や外注費、人件費の上昇などもあり、創業以来初めて赤字となる見込みです。
社長から、「これまで黒字のときには法人税を納めてきたのだから、今回の赤字を過去や将来の黒字と相殺することはできないのか」と質問されました。
法人税は事業年度ごとに計算すると聞いていますが、当期に生じた欠損金を翌期以降に繰り越したり、前期に繰り戻して法人税の還付を受けたりすることはできるのでしょうか。
法人税は、原則として事業年度ごとに所得金額を計算して課税されます。
しかし、青色申告法人に欠損金が生じた場合には、一定の要件のもと、その欠損金を他の事業年度の所得と通算する制度が設けられています。
主な制度は、「欠損金の繰越控除」と「欠損金の繰戻しによる還付」の二つです。
① 欠損金の繰越控除
当期に生じた欠損金を翌期以降に繰り越し、将来の所得から控除する制度です。
欠損金の繰越期間は、平成27年度税制改正により9年から10年に延長され、平成30年4月1日以後に開始する事業年度から適用されています。
例えば、当期に1,000万円の欠損金が生じ、翌期に800万円の所得が生じた場合には、一定の要件を満たせば、繰り越した欠損金1,000万円のうち800万円を翌期の所得から控除できます。残りの200万円は、その後の事業年度に繰り越すことができます。
なお、中小法人等については、原則として所得金額の全額まで欠損金を控除することができます。
② 欠損金の繰戻しによる還付
一定の中小法人等については、当期に生じた欠損金を前1年間の所得に繰り戻し、前期に納付した法人税の還付を受けることができます。
例えば、前期に1,000万円の所得があり法人税を納付していた会社が、当期に1,000万円の欠損金を計上した場合には、一定の要件を満たせば、前期に納付した法人税の全部または一部について還付を受けることができます。
建設業では、工事の受注状況によって売上が年度ごとに大きく変動する一方、資材費や外注費、人件費などの負担が先行することもあります。
そのため、ある事業年度だけを見ると赤字になっていても、前後の事業年度を含めて考えることが大切です。
青色申告法人であれば、当期の欠損金を将来の黒字と相殺する「繰越控除」が利用できます。また、一定の中小法人等で前期に法人税を納付している場合には、欠損金を前期に繰り戻して法人税の還付を受ける「繰戻し還付」も検討できます。
今回のように、これまで黒字が続いていた建設会社が初めて赤字となった場合には、前期に納付した法人税があるかを確認し、繰戻し還付を利用できるか検討するとよいでしょう。
赤字決算となった場合には、単に「今期は法人税がかからない」と考えるだけでなく、その欠損金を将来に繰り越すのか、前期に繰り戻して還付を受けるのかまで確認することが重要です。詳しくは顧問税理士にご相談ください。
