即時償却を全額しなかった場合の翌期以降の減価償却の取り扱い

掲載日:2026年8月25日

【セミナでのご質問】

私は建設機械の営業担当です。
当期に3,000万円の機械を販売したA社の社長から、「決算の都合で、取得価額3,000万円のうち、当期は2,000万円だけ償却した。残りの1,000万円を翌期に償却したいのだが、何とかならないか」との質問がありました。
どのように回答したらよいでしょうか?

【キド先生からの回答】

中小企業経営強化税制の即時償却は、原則として、その設備を取得して事業の用に供した事業年度に適用する制度です。

したがって、その事業年度に即時償却しなかった部分について、翌期に改めて即時償却することは原則としてできません。

ただし、この即時償却には「特別償却不足額の繰越し」という制度があります。当期に特別償却限度額まで償却しなかった場合でも、確定申告で所定の手続きを行い、その不足額を「特別償却不足額」として繰り越していれば、翌期の償却限度額に加算することができます。

特別償却不足額として繰り越すことができるのは、原則として1年間です。

したがって、ご質問のケースでは、取得価額3,000万円のうち2,000万円だけを当期に償却し、残りの1,000万円について特別償却不足額の繰越しの手続きをしていれば、翌期にその不足額を償却することができます。

一方、その手続きをしていない場合には、残りの1,000万円を翌期に改めて即時償却することはできず、その後は通常の減価償却を行っていくことになります。

【キド先生のコメント】

中小企業経営強化税制の即時償却は、要件を満たしていても、取得価額の全額をその事業年度に償却しなければならないわけではありません。
ただし、当期に償却しなかった部分を翌期に特別償却するためには、当期の申告で「特別償却不足額」として繰り越すための手続きが必要です。
この手続きをしていない場合には、残額は通常の減価償却によって償却していくことになります。