専務取締役 板井 俊明 様
大分県大分市のトーヨー木材工業㈱(板井貴裕社長)では、木製パレットの製造を主力に、プラスチックや鉄製パレットの販売の他、梱包用や贈答用木箱まで幅広く生産。さらにパレットの修理や中古再生パレットの販売といったリユース事業に加え、壊れたパレットや廃木材を破砕する中間処理などのリサイクル事業にも積極的に取り組んでいる。 同社では中間処理で破砕処理した木材チップの販売、トラックへの積み込みなどの作業用車両として2021年9月にコマツ製リーチローダ・WR12-8を導入。12年前に導入した同社製リーチローダが老朽化したことによる代替えとして、また最新機種の導入による作業現場の環境改善と効率化が主な目的だ。 「レバー一本で簡単に操作ができる」、「オーバーヒートの心配がなく作業効率が上がった」と話す板井俊明専務に、新型機の導入前に抱えていた課題、導入後に実感した操作性や運用上のメリット、今後の課題などについて話を伺った。
(写真:WR12-8を背景に、現場スタッフと記念写真におさまる板井俊明専務(中央))
レバー操作の快適性を知ったら以前の機械には戻れない 「以前は慣れで使いこなしていたので、それほど操作性に不満はなかったのですが、この新型機は明らかに使いやすいですね。操作して機械が反応して動き出すまでのタイミングのズレが非常に少なく、機械を操作している感覚がダイレクトに伝わってきます。コマツの機械全般に言えることですが、例えば、ブームを上げながらバケットを操作するなどの二つ以上の操作を同時に連続して行うような場面での操作性は抜群ですね。動きがとてもなめらかで、ストレスなく素早く作業できます。今ではこの操作性が当たり前の感覚になっていますね。とても以前の機械には戻れません」と新機種の導入に満足な表情を浮かべる板井俊明トーヨー木材㈱専務。中でも特に評価が高いのが、マルチファンクションモノレバーの操作性の高さだという。片手の操作で、前後進はもちろん、指先でリーチアーム、ブーム、バケットの操作が可能で、オペレーターの体格に合わせレバーの位置を変えることができるので、疲労感も軽くなったという。
(写真:2021年9月に新規導入されたリーチローダーWR12-8)
ラジエーターに詰まった粉塵を吹き飛ばし、連続稼働が可能に
粉塵の中での作業を強いられる木材チップの運搬で、最大の課題はラジエータに詰まった粉塵が原因のオーバーヒート。これまではオーバーヒートしそうになると、その都度車両から降りてラジエーターに詰まった粉塵を吹き飛ばす作業が不可欠だったという。特に夏場は何度もこうした作業を繰り返すので、作業の効率が落ちるのはもちろん、オペレーターの疲労が蓄積する要因にもなっていたという。今回、新規に導入したWR12-8は油圧駆動によるファンの逆転機能が付いているため、オペレーターの負担になっていた粉塵の除去に手間を取られることがなくなったと話す。「外装カバーやラジエーター、オイルクーラー等に詰まったホコリを吹き飛ばすために、いちいち降車することなく作業が続けられます。タイマーを設定しておけば、1時間に1回とか自動的に逆回転してくれるので、オーバーヒートの心配もなくなりました」。
人件費圧縮効果に期待 操作性の良さにより事故につながるストレスを軽減
「導入で一番期待している効果は?」の質問に板井専務は、積み込み時間の短縮を上げた。「今までの車両と比べてスムーズで無駄のない動きをしてくれるので、一日あたりで30分ほど作業時間が短縮されています。年間ではかなりの時間が浮く計算になりますので、その分、他の仕事に人を回すことができます。何と言っても人件費のコストが一番高いので、作業時間の短縮による人件費の圧縮効果にはとても期待しています。 新機種導入の効果に期待が高まる板井専務だが、過去の機械選定において苦い経験もあったため、今回の導入については、操作性の良さとそれに伴うストレス軽減といった点も重視してWR12-8を選定。「一番避けたかったのは作業中の事故ですね。事故につながるようなストレスをできるだけ軽減できる作業環境を実現したかったことも、新型機を導入した動機の一つです」。 新型機に搭載されたハイリフト強化ブームは、4.3mを越えるダンピングクリアランスが確保されているので、かさ上げダンプの積み込みにも威力を発揮する。さらに、高さに制限がある道路やフェリーを利用する際の積荷を均して既定の高さにするような作業も、片手で操作ができるマルチファンクションモノレバーならスムーズに作業することが可能なので、オペレーターのストレスの軽減に役立っている。
(写真:きびきびとした動きで、トラックに木材チップを積み込む)
中間処理業者として環境に配慮 普段の点検整備が機械を大切に使う気持ちを養う
機能性や効率、安全性に加え、同社が新型機導入に踏み切ったもう一つの理由が、企業としての環境への配慮だったという。軽油を燃料とする特殊自動車の排出ガス規制、いわゆる国内排ガス4次規制がスタートしたことで、工場内で運用する車両も排出ガス規制に適合するものにしたいと考えていたという。「大きなことはできませんが、クリーンな排気ガスに対応した機械の導入など、環境に配慮した取り組みを今後も進めていきたいと考えています」。 導入から3カ月ほど経ち、新型機の運用にも慣れてきた中で課題も見えてきたという。 「毎日機械に乗るオペレーターが機械についてある程度の知識を持っていないと思わぬ事故につながることもあるので、ホース交換やベルトの張り調整といった簡単な点検整備・メンテナンスについては、自分達で出来る方が良いと考えています。普段から点検をしていれば機械のことも詳しくなるし、自信もつきますからね。何より機械に対しての愛情というか、丁寧に使おうという気持ちも沸いてきますので、社員にもそうした点検の時間は取るようにと言っています。簡単な点検整備でもすぐにコマツのサービススタッフを呼ぶのではなく、毎日のように使う車両ですので、自分達で大切に使っていくという気持ちが大切だと考えています」。
(写真:工場内にうずたかく積み上げられた木製パレット)
トーヨー木材工業株式会社
<設立> 昭和59年 <事業所> 〒870-0314 大分市大字久土字花影184番地の64 <事業内容> ■木材、製材品及び木材加工品の生産、販売(パレット月産20,000台) ■土木、建築用資材の生産、販売 ■荷役機械の販売 ■重量物輸出梱包設計及び梱包作業請負 ■不動産の賃貸及び売買 ■産業廃棄物処理業 HP:http://www.toyo-mokuzai.co.jp/