地球環境の保全へ大きな槌音が響いている。宮崎県えびの市浦地区では、東京ドーム約8個分に相当する36ヘクタールという広大な土地に太陽光発電所が建設中だ。完成すれば一般家庭約1万5千世帯の年間使用電力量に相当する約5,340万kWh/年の発電を想定しており、約200万本の植林と同等の2万7,984t/年のCO2削減が見込まれる。このえびの市浦太陽光発電所建設工事ではスマートコンストラクション・レトロフィットキットを搭載した最新のICT建機といったコマツの多種多様な機械が活躍しており、環境問題に対して大きな役割を担っているといえる。現場を担当する村本建設㈱(大阪市)奈須野様と、矢西建設㈱(福岡市)所長 藤﨑様に工事の現状を聞いた。
(写真:スマートコンストラクション・レトロフィットキットを搭載したコマツのPC200-11)
「これからは情報化施工の時代」
従来のコマツのPC200-11の後方にGNSSアンテナを取り付けた油圧ショベルが高い性能を発揮している。これはコマツが2020年4月から導入を開始した「スマートコンストラクション・レトロフィットキット」の活用例のひとつだ。メーカを問わない従来型の建設機械にICT機能を後付けで取り付けるこのレトロフィットを使うことで、3D-マシンガイダンスやペイロード機能などICT建機と同程度の機能が利用出来、経験が少ないオペレータでも早くて正確な作業が出来る点が強みとなっている。「もちろん初心者でも正確な作業が出来ることは助かっていますが、それ以上に経験豊富なオペレータが操作すると、従来のICT建機以上のスピードが出せるように感じています」(村本建設)とし、デジタルの強みと従来の操作を融合させて相乗効果が発揮出来ていると話す。さらに「ICT建機は高額なものが多いですが、レトロフィットは安価な取り付けが可能でしたので、コスト削減にも貢献しました」と喜びを語る。
(写真:インタビューに応える村本建設㈱ 奈須野 魁斗 様(右) 矢西建設㈱ 所長 藤﨑 寛史 様)
この工事ではレトロフィットを含め複数のICT建機が活躍しており、ブルドーザ3台、油圧ショベル2台が導入されている。「油圧ショベルではまず、丁張の設置が必要ありませんので、職員の負担軽減につながっています。そのほか特に便利だと感じているのが作業の早さです。ICT建機を使うと高さがわかるため、一気に目一杯アームを伸ばした状態から切れるため本当に早いです。切り出しの角度を一回一回降りて確認する必要がありません。測量も早いですし段取りもスムーズで、これらが早いと全体の見え方・イメージもすぐにわいてきます。この機械があるだけで倍はスピードが違いますね」(矢西建設)。 もしICT建機を導入していなかった場合を聞くと、約3倍の人員が必要という。 近年、建設業界の人手不足問題が深刻化している中で、ICTの積極活用は人手不足の解消だけでなくスピーディーな施工や職員の負担軽減などあらゆるメリットを備えている。コマツでは建設業界の未来が作られているといえる。
(写真:多種多様なコマツの機械が活躍中)
太陽光パネル約13万枚を設置するこの現場では多数のコマツの機械が活躍している。特に目を引くのが機械重量70tを超えるコマツのD375A-6。18.5㎥の大容量ブレードと強力な破砕性能を発揮する変節リンク式油圧リッパを装備したこの機械が動くたびに、迫力ある轟音と摩擦による噴煙が立ち上っていた。「この規模の工事ですと375Aといった大型機械はたいへん重宝しています。一度で大量に運ぶことが出来るため、生産性向上に役立っています。」 ICT建機と「スマートコンストラクション・レトロフィットキット」、他多数のコマツの機械を活用することで、理想的な現場が実現している。
(写真:一気に土壌をかきおこすコマツのD375A-6)