マツダ防府工場が描く、 環境と調和する先進のものづくり

カーボンニュートラルの実現と作業効率向上を目指すマツダ株式会社。

カーボンニュートラルを目指すマツダ防府工場

 広島県府中町に本社を構える自動車メーカー、マツダ株式会社。1920年の創業以来、創意と技術革新を重ね、独自の高い技術とデザインで世界中からの支持を集めている。その一方で、地球環境への配慮を企業の重要な責務と位置付け、製品ライフサイクル全体を通じたCO₂の排出削減に取り組んでいる。2030年までに国内自社工場と事業所のCO₂排出を大幅に削減し、2035年に全世界の自社工場でカーボンニュートラルを実現。2050年にはサプライチェーン全体での達成を目標に掲げている。
 山口県防府市にある防府工場は広島本社に次ぐ国内第2の生産拠点であり、2024年度は約35万台の車を製造した。昼夜勤体制で4,500名ほどの従業員が勤務。部品供給などを行う19社のパートナー企業を含めると約1万名が同工場で働いている。
マツダ株式会社
防府工場 工場長
松田義博 氏
瀬戸内海を望む広大な敷地に位置する防府工場。国内第2の生産拠点として稼働している

段階を経て、電動化を推し進める

 パートナー企業からトラックで納品される部品の荷下ろしと、部品や金型の工場内の移動にフォークリフトが活用されている。同工場では、これらの作業に使用する小型フォークリフトとして、液化石油ガス(LPG)を燃料とするエンジン駆動式、鉛バッテリーの電動式、リチウムイオンバッテリーの電動式(FE25G-2、FE30G-2)の3種類が稼働している。「カーボンニュートラルの実現と作業効率の向上を見据え、更新時期を迎える車両から随時リチウムイオンバッテリーの電動式フォークリフトへの置き換えを進めています」と防府工場 工場長の松田義博氏は語る。
 かつてはLPGのエンジン駆動式フォークリフトが主力であったが、使い勝手に多くの課題があった。同工場は24時間稼働で、日勤は8時から17時、夜勤は20時から翌5時の2直制となっている。LPGボンベは数時間で燃料を使い切るため、昼夜それぞれの直で交換作業が発生する。満タンに充填されたボンベは約30kgとかなりの重量だ。これを一人のオペレーターが人力で交換するのだから、相当な重労働である。しかも、交換のたびに作業は中断され業務効率に影響を及ぼした。さらにエンジン駆動式特有の振動が多く、オペレーターへの身体的な負担も課題となっていた。
 そして、同社のカーボンニュートラル推進に合わせて導入されたのが、鉛バッテリー搭載の電動式フォークリフトだ。しかし、充電に時間がかかるため、LPGと同様、昼夜それぞれの直毎にバッテリーを交換する必要があった。約800kgもの重量となるバッテリーをフォークリフトで入れ替える際は、限られたスペースに収納する繊細な操作が求められ、危険を伴う作業となる。さらに、交換のタイミングが複数台重なってしまうと、待機時間が発生し稼働効率も低下する。鉛バッテリーの電動式フォークリフトは、環境対応の一助にはなったものの、作業環境や効率の面では依然として多くの課題を抱えていた。

総合的に高く評価されたリチウムイオンバッテリー

 そこで同工場は、CO₂排出削減と業務効率向上を同時に実現するリチウムイオンバッテリー搭載の電動式フォークリフトの導入を検討した。導入に先立ち、デモ機による2週間程度の試験運用を実施。その結果、効率性や操作性、運用面など総合的に高い評価を得て、正式導入に至った。
 現場で高く評価されているのは、従来のようなLPGボンベ交換や重いバッテリー交換の作業が不要になったことだ。FE25G-2は急速充電が可能であり、充電は一日一回で済む。「日勤と夜勤の間の1~2時間の充電で完了します。しかも、充電はプラグを差し込むだけの簡単な操作です。これまでの煩わしい手間が削減され、安全性も格段に向上しました。精神的にもだいぶ楽になりました」と第4車両製造部第2組立課部品係の西村宙氏は語る。
(写真:マツダ株式会社 防府工場 第4車両製造部 第2組立課 部品係 係長 西村宙 氏 氏)
プラグを差し込むだけで簡単に完了するFE25G-2の充電作業
部品の搬送や荷下ろしなど、防府工場内のさまざまな工程で活躍しているFE25G-2

高い安全性能と優れた運用管理性能

 また、安全性や快適性の面での評価も高い。回生ブレーキがよく効き、アクセルを離すだけでスムーズに減速できるため、安心して作業ができる。振動も少なく、体への負担が軽減されるのも大きな特長だ。「長時間稼働でも快適に作業できますね。バックライトを搭載しているので、音が静かでも周りの作業員への注意喚起ができ、安全性も確保されています」と第4車両製造部 第2組立課部品係の林卓也氏は語る。
 さらに、運用管理の効率化を支えているのが、稼働時間や位置情報、稼働状況、メンテナンス情報まで確認ができる稼働管理システム「Komtrax」だ。「これまではフォークリフトの稼働状況を正確に把握することが困難でした。しかし、Komtraxを活用することで、稼働率が低い車両を効率的に再配置し、稼働の標準化を図れるようになりました」と第4車両製造部 第2組立課 FB5職場 職員の中屋正導氏は語る。
マツダ株式会社 防府工場
第4車両製造部 第2組立課 部品係 FB5職場 職長
林卓也 氏
マツダ株式会社 防府工場
第4車両製造部第2組立課 FB5職場職員
中屋正導 氏

持続可能な社会に向けたものづくり

 「当社では『走る歓び』をブランドの本質に据え、その体験を通じて『生きる歓び』へとつなげることを企業のビジョンとしています。今後も、お客さまが求める価値を的確に捉え、『走る歓び』につながるものづくりを進めていきます」と松田工場長は語る。マツダはこれからも地域と共に歩みながら、持続可能な社会に向けたものづくりを進化させていく。