ICTを企業戦略に位置付け 地域社会と共に成長する

成長戦略において藤岡建設株式会社が取り組む多彩な活動のなかに、ICTの可能性が見えてくる。

事業の多角化と規模拡大を推進

 愛媛県西条市に拠点を構える藤岡建設株式会社は、公共工事を主体とする土木工事をメインに事業展開をしている。官公庁から数多くの優良工事表彰を受賞し、施工管理能力の高さには定評がある。保有する建機はおよそ100台にものぼり、その機動力の高さが同社の強みだ。
 代表取締役の藤岡一貴氏は、創業者の意思を継ぐ二代目で、社長就任後は土木事業だけでなく、生コンクリート事業やバイオマス事業、農業事業など、事業の多角化を推進。「一つのことに頼っていては、何かがあったときに企業として対応できません。多彩な領域をカバーすることで、企業は安定し、成長を続けることができます」と成長の要因を藤岡社長は語る。

(写真:藤岡建設株式会社 代表取締役 藤岡一貴氏)

ICTを経営戦略のなかに位置付ける

 同社がICTに本格的に乗り出したのは2020年頃だ。背景には、公共工事の分野でICTを活用する工事の指定が増えたことがあるが、同社がICTに着目したポイントは「若手社員の早期戦力化」だ。ICT施工であれば、経験の浅い若手社員でも、一定水準以上の施工を簡単に行うことができる。若手社員が生き生きと自身の能力を発揮する環境を整えることで、企業全体の活性化や組織の成長につながる。ICTを単なる技術としてではなく、経営視点に立った戦略的投資と考え、ICT導入を図った。
 同社では、測量から施工、そして出来形管理・納品に至るまで、業務全体をカバーするICTの一貫体制を整備している。ドローンやレーザースキャナーを活用した3D測量を行い、その後3D設計データを作成し、ICT建機による施工を実施。さらに、3D出来形管理やデータ納品にも対応。ICTを軸とした現場運営が日常的に行われている。「3D設計データの作成など、難しい業務もありますが、教えてもらいながら対応しています」と若手社員たちは語る。
ドローンを活用した3D測量で正確かつ効率的な測量を実現

ホワイトボードのデジタル化

 同社では建機の管理にSmart Construction Whiteboardを活用している。Whiteboardとは、現場の工程・タスク・建機配置などの情報をクラウド上で一元管理し、建機がどの現場で稼働しているかを視覚的に共有できるデジタルツールだ。もともと同社では、本社オフィスのホワイトボードにマグネットを貼り付け、建機の配置状況を管理していたが、PC200i-12導入により、クラウドによるリアルタイムの情報共有が可能なWhiteboardへと移行。これにより、本社と現場間の連携が飛躍的に向上し、効率的な建機運用ができるようになった。
 さらに、WhiteboardはKomtraxの情報と連携しているため、それぞれの建機の稼働状況も一目で把握できる。「複数の現場を同時に動かすなかで、どの建機をどこに配置するかの判断は業務効率に直結します。建機の稼働状況が可視化されるため、全体の最適化がしやすくなりました」と工務部課長の宮原直則氏は語る。なおこのWhiteboardは、建設現場のDXを推進する株式会社EARTHBRAINが開発を行ったもので、同社はモニター企業としてその開発に携わった。
Smart Construction Whiteboardで建機の配置状況を一元管理
藤岡建設株式会社 工務部 課長
宮原直則氏

圧倒的な性能で作業をサポート

 PC200i-12は、操作における快適性と安全性の向上にも配慮された設計となっている。運転席の足元スペースは広く確保され、長時間の作業でも疲れにくいエアサスペンションシートを採用。振動を効果的に吸収し、快適な乗り心地を実現している。
 さらに、360度機械周囲カメラシステムと衝突検知ブレーキシステムを搭載。機械の周囲全体をリアルタイムで映し出す映像により、死角のない視界が得られ、安全性も格段に向上した。「周囲をすべて見渡せるので、安全面でも安心感があり、精神的な負担もぐんと少なくなりました。操作レバーの感度調整も便利で、動き出しの反応やレバーの重さも自分好みに設定できます」と宮原課長は話す。

ICT施工推進を目的とした若手人材の採用

 ICT施工を継続的に推進していくためには、それを支える人材の確保と育成が不可欠だ。同社では、若手社員の採用と育成にも力を注いでいる。インターンシップでは、ドローン測量やICT建機の操作など、最先端の建設技術に触れる機会を提供。実際にインターンシップを通じて入社を決めた学生も少なくない。
 また、ICTをあくまでも業務効率化の手段と捉え、土木の基本的な知識や技術をベースに据えた人材育成を行っている。ICTに偏ることなく、実務に根差した土木のスキルを重視している点も特徴だ。「随時勉強会を実施し、基本となる土木の知識からICT関連の最新技術まで、幅広く社内で共有することで、これからの社会に通用する人材を育てていきたいと考えています」と管理統括の藤岡優一氏は語る。
藤岡建設株式会社 管理統括
藤岡優一氏
レーザースキャナー操作の実地研修でICT施工を支える人材を育成

リサイクル事業の起点は「捨てない土木」

現在、特に注力しているのが、建設廃材の再資源化を目的としたリサイクル事業だ。そのきっかけとなったのは、コマツの自走式破砕機「ガラパゴス」との出会いだ。もともと循環型の持続可能な社会づくりに関心があった藤岡社長は、当時のガラパゴスのキャッチフレーズとなっていた「捨てない土木」という言葉に心を動かされ、リサイクル事業へ参入した。「当社の成長はコマツと共にあると言っても過言ではありません。コマツの建機が進化するたびに、私たちの業務品質も向上し、それに伴って事業の幅も広がってきました」と藤岡社長は語る。
(写真:リサイクルを支える現場の主力機、ガラパゴス BR380JG-3(中央))

地域の守り手として地域社会と共に歩む

 「私たちは『地域の守り手』としてインフラを整備し、万が一の際には24時間体制を整え、迅速に対応できるよう努めています。雇用を創出し、地域の持続的な成長を支え、安全で快適な社会生活を実現する。これが私たちのミッションです」と藤岡社長は語る。地域の人々の暮らしを支えながら、自らの成長を地域の成長と重ね合わせていく。その姿勢こそが、藤岡建設の未来を形づくっている。