信頼をコツコツ積み重ね 地域と歩むアロウズの挑戦

中間処理施設「アロウズエコプラント」で、コマツの建機が資源循環の現場を支える。

機動力を活かして信頼を積み重ねる

 茨城県筑西市に本社を構える株式会社アロウズ。1967年に資材の運搬から事業をスタートし、その後、土木工事へと事業を拡大した。現在では、道路工事・河川工事・造成工事などの土木工事を主軸とし、官公庁の公共工事を中心に、地域に根ざした事業を手がけている。
 同社の強みは、なんといっても「機動力」だ。豊富な建機のラインナップに加え、外部パートナーとの強固なネットワークにより、多様な現場に柔軟に対応できる体制を整えている。代表取締役の新井達夫氏は「期待を裏切らないように、信頼をコツコツと築いていくこと。これが当社の経営の本質です」と語る。地域に根ざし、地道に信頼を積み重ねてきた姿勢が、アロウズという企業の礎となっている。
(写真:株式会社アロウズ 代表取締役 新井達夫 氏)

地域との共生を図る中間処理施設

同社では資源循環の推進と環境負荷の低減を目的に、2023年、筑西市に産業廃棄物処理施設「アロウズエコプラント」を開設した。施設は二つのプラントから成る。
一つは、建築・土木工事で排出されるがれきを受け入れ、再生資材にする中間処理施設だ。コンクリート塊やアスファルト塊を破砕・選別して、RC-40などの再生資材として生まれ変わらせている。もう一つは、太陽光パネルのリサイクルプラントだ。使用済みのパネルを分別・回収し、再生可能資源としてアルミ枠やバックシートなどを製造している。
同施設の最大の特徴は地域社会との共生を重要視している点だ。破砕や運搬の過程で生じる騒音・振動・粉塵の抑制を徹底するため、主要設備はすべて屋内に配置。一次破砕機であるジョークラッシャーは地下に設置されており、作動時の振動や騒音を最小限に抑えている。また、コンベアには防塵カバーを装着し、資材の搬送中に粉塵が飛散しないよう配慮されている。
「アロウズエコプラントは、環境保全と再資源化、そして地域への配慮を両立させることで、持続可能な社会の実現を支援しています」と常務取締役エコプラント事業部長の新井雅貴氏は話す。
株式会社アロウズ
常務取締役エコプラント事業部長
新井雅貴 氏
コンベアには粉塵対策として防塵カバーが装着されている

ホイールローダーWA380が効率化を支える

 アロウズエコプラントの中核を担っているのが、コマツのホイールローダーWA380だ。廃材の破砕設備への投入や、再生砕石のダンプカーへの積み込みなど、施設内の主要な工程で活躍している。バケット容量が大きく、一度に多くの資材を扱えるため、現場作業の効率化に大きく貢献している。加えて、バケット自動水平制御機能により、バケットを地面に下ろした際に自動的に水平を保つため、オペレーターは角度調整に気を取られることなく、スムーズかつ正確に作業ができる。これにより作業時間短縮と負担軽減にもつながっている。
 操作性の高さも現場で高く評価されている。前後進切り替えスイッチの搭載により、指先ひとつで前後進を切り替えることが可能だ。「投入する際は、頻繁に前後進の切り替えを行います。切り替えスイッチのおかげで、左手でハンドルを持ちながら、右手のスイッチ操作で切り替えがスムーズにでき、業務の効率化に大きく寄与しています。また、ペイロードメーターもいいですね。0.1t単位で積載量が把握できるため、過積載防止はもちろん、その日の出荷目標量に応じた正確な積み込み管理が可能です。マネジメントするうえでもとても役立っています」と、新井部長は語る。
 さらに、安全性への配慮も行き届いており、360度ガラスに囲まれたコックピットは広い視界を確保し、死角が少なくなるバックモニターは安心して作業に集中できる。オペレーターからは「視界が広く、目視で確認できるので安心感があります。また、音も静かで乗り心地がいいですね。長時間作業でも集中力を維持しやすいです」と評価の声が上がる。
 そして、こうしたWA380の作業を支えているのが小型のWA40だ。WA380では入り込めない狭小なスペースでの作業や、施設内の清掃業務といった場面で活躍し、優れた機動性を発揮している。両機の連携によって、施設全体の運用が円滑に進められている。
(写真:屋内の破砕設備へ廃材を投入するWA380)

柔軟に業務に対応する油圧ショベルPC210

 バケットで場内の廃材を移動する作業や、アタッチメントを交換し破砕作業を行うなど、フレキシブルな対応をするPC210も稼働している。大型のコンクリート塊などはブレーカーで粗く砕き、中程度の大きさのコンクリート塊は小割圧砕機で細かく砕く。状況に応じてアタッチメントを使い分けることで、破砕機への円滑な供給に寄与している。

現場を止めないコマツのサポート体制

 エコプラントの安定した運用を陰で支えているのが、コマツのきめ細かなサポート体制だ。電話一本で担当者が迅速に対応し、即座に現場へと駆け付ける。トラブルが発生しても現場を止めることなく運用を継続できる点は大きな安心材料になっている。「ホイールローダーのタイヤがパンクしてしまったといったトラブルも連絡を入れるとすぐに来てくれます。たった3時間程度で復旧し、本当に助かります」と、新井部長はコマツのサポート体制を高く評価する。

コツコツと着実な成長を目指す

 同社の建機はすべてコーポレートカラーとロゴマークで統一されたスタイリッシュなデザインで仕上げられ、現場でもひと際存在感を放っている。2025年6月に完成した新社屋は、平屋のワンフロア構造で、従来の建設業のイメージを覆すシンプルかつ洗練された空間だ。社員が自社に誇りを持ち、気持ちよく働けるようにという思いがこの空間づくりに表れている。
 「社会のために何ができるかを問い続ける姿勢こそが、アロウズの成長の原動力です。そのために、少しずつ背伸びをして、社員全員がワクワク感を持って働きながら、一歩ずつ前に進んでいきたい。これからもコツコツと歩みを重ね、成長を目指します」と新井社長は抱負を語った。
建築廃材と太陽光パネルを再資源化するアロウズエコプラント