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Daichi Report
運び、届けるために、 持続可能な「物流業界」の 在り方を考える
「協力」が物流の未来を切り開く
コマツグループにおける物流の要として、現場を止めない仕組みづくりを続けてきたコマツ物流株式会社。 少子高齢化社会によるドライバー不足を背景に、2024年問題で加速する輸送力不足問題。ドライバーの拘束時間や輸送の再設計に挑む同社の取り組みから、物流業界の歩み方を探る。
生産・納品・アフターまで、現場の稼働を支える物流
コマツの物流子会社であるコマツ物流株式会社は、1972年に創業した。現在の事業の大きな柱は、梱包・倉庫・輸送であり、生産工場内の物流から、完成機の納品輸送、更にお客さまのもとから点検・整備のために建機を戻す輸送まで、関わりは納品後も長く続く。輸送を担う全国の信頼あるパートナー企業と共に、生産と販売をはじめ、お客さまとコマツをつなぐ物流の司令塔として、現場を止めない役割を果たしているのである。
2024年問題の本質と、物流の再設計
ドライバーの拘束時間の短縮を余儀なくされる「2024年問題」の背景には、既に進行しているドライバー不足からなる構造的な課題がある。右図が示すとおり、ドライバーの人数は年々、減少傾向にあり、今後も労働人口全体の縮小とともに、担い手の確保はますます難しくなると見込まれている。現場を支える人材が減っていくなかで、従来と同じ運び方を続けること自体が限界に近づいている。
こうした状況に対し、コマツ物流が重視したのは「いかに無理なく、効率よく運べる仕組みをつくるか」である。予定時間内で確実に運べる輸送計画を組むことで、ドライバーの拘束時間を短縮。また、コマツ構内での棚入れや横持ち運搬といった本来業務外の付帯作業は、コマツグループ側で実施することを推進している。さらに、日帰り運行が可能かどうかを基準に、300km以上の区間ではモーダルシフトや中継輸送を有効的に活用し走行距離を短くしている。リードタイムの延長やコスト増、積み替えに伴うリスクといった課題もあるが、それらについてはお客さまに丁寧に説明し、理解を得ながら進めてきた。走行距離を短くしても、中継地点に荷物をプールし、往路・復路ともに仕事が生まれるよう工夫した運送に取り組んでいる。ドライバー人口が減っていく時代を前提に、持続可能な物流へと再設計を進めているのである。
無理をしない物流が、持続可能な現場をつくる
無理な運行を廃し、輸送の効率化を進めることで実現したドライバーの拘束時間の短縮は、コマツ物流にとって一定の成果を上げている。運送会社の間でも、コマツが安全・コンプライアンスを最優先する企業だという認識が浸透しており、大きな反発はない。また、運送会社やドライバーからは、自身の仕事に安心して取り組めるとの意見もいただいている。ただし、ドライバーの収入は歩合や残業に依存する面が大きく、残業減による実入りへの不安が残るのも事実である。そのため同社では、時間短縮等によるドライバーの減収を値上げで補塡し、労働環境の改善につなげてきた。長時間労働を好まない若年層が増えるなか、働きやすさそのものを求人の“売り”にする取り組みは、人材確保に向けた重要な一歩となっているのである。
(写真:船舶輸送を利用することによって、モーダルシフトを実現)
現場と経営をつなぐ、対話と学びの積み重ね
物流業界が抱える課題は、1社だけで解決できるものではない。コマツ物流では、コマツグループの一員として、営業やサービス部門とも運送に関する情報を共有し、現場やお客さまから相談があれば「一緒に考える」体制を築いている。法改正や規制強化が続くなか、締め付けるだけでは現場は立ち行かなくなる。だからこそ、守るべきルールは確実に守り、そのうえで国や行政に対し、現実に即した緩和や制度改正を求めていく姿勢が必要だ。
その一環として取り組んでいるのが、現場に即した安全・法令教育だ。ドライバー向けには、過去の事故や災害の事例をもとに、荷物の固定方法や作業手順を直接対面で伝える安全セミナーを実施している。単なる注意喚起ではなく、なぜその手順が必要なのかを共有し、実習を交えて理解を深めるのが特長である。一方、経営者に向けては、コンプライアンスや法改正をテーマに、専門家による運行管理者向けセミナーを全国8カ所で開催している。2024年には管理者約250名、ドライバー約2,000名が参加し、安全・コンプライアンスの知識レベルを上げる機会をつくってきた。
また、セミナーの開催によって、実際の現場の声を拾い上げることも多い。現場の声を行政や業界団体へ伝えていくなど、対話を重ねることでしか前には進めない。こうした地道な取り組みこそが、業界全体を変えていく力になるのだ。
(写真:ドライバーに対する実技教育)
業界全体で支え合い、次の物流をつくる
物流業界が抱える課題は、1社だけで解決できるものではない。コマツ物流では、コマツグループの一員として、営業やサービス部門とも運送に関する情報を共有し、現場やお客さまから相談があれば「一緒に考える」体制を築いている。法改正や規制強化が続くなか、締め付けるだけでは現場は立ち行かなくなる。だからこそ、守るべきルールは確実に守り、そのうえで国や行政に対し、現実に即した緩和や制度改正を求めていく姿勢が必要だ。
「締め付けばかり厳しくしても、業界は成り立たない。まずは今ある法律をきちんと守る。その土台があってこそ、緩和や改正を求めることができる。これはコマツグループだけではなく、業界全体で取り組んでいかなければならない」と、執行役員 地域物流部長の田中徹氏は語る。
現場、運送会社、荷主、そしてメーカー。それぞれが役割を理解し、協力し合うことで、物流は次の段階へ進む。その先で、持続可能な事業の未来を実現することができるのだろう。
(写真:コマツ物流株式会社
執行役員 地域物流部長
田中徹 氏)
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