Daichi Report

つながるバトン「ミライの水中工事」 水陸両用ブルドーザーから 水中施工ロボットへ ‐青木あすなろ建設株式会社‐


日本の暮らしと自然を守る役目を背負い活躍する 水陸両用ブルドーザーD155W-1

水陸両用ブルドーザーD155W-1は、前回の大阪万博(日本万国博覧会)開催の翌年である、1971年に生産を開始した。以降、D155W-1の施工実績は全国の沿岸部、河川で1,200件を超えている。東日本大震災の復旧工事にも貢献した。現在、稼働しているのは5台で、すべてを開発時に深く関わりのある青木あすなろ建設株式会社が所有している。
日本は河川が多く、海に囲まれ、水資源が豊富な国であるが、その一方で治水工事や浚渫工事がその分必要となっている。川が狭く、急勾配で水深が浅いなど地形的な制約が多い場所では作業船での工事が難しい。そのような現場では、水陸両用ブルドーザーが50年経った現在も活躍し続け、日本の暮らしや自然を守り続けている。
水陸両用ブルドーザー D155W-1
青木あすなろ建設株式会社
土木技術本部 環境リニューアル事業部 水陸無人化グループ
グループリーダー 飯塚尚史 氏

一歩先のミライへ 新型機「水中施工ロボット」

現行機であるD155W-1は水深7mまで作業が可能だ。操縦は陸上にいる熟練のオペレーターがラジコンで行う。水中に入ると本体が見えなくなるため水上に出ている吸排気ダクトの傾きや、負荷音、挙動で土砂を掘削しているかを判断している。「実際に操縦してみましたがとても難しく、まさしく職人技だと感じました」と青木あすなろ建設 土木技術本部 環境リニューアル事業部 水陸無人化グループ グループリーダーの飯塚尚史氏は語る。
頻度が増す自然災害や、少子高齢化による工事の担い手不足といった社会課題の解決に向け、熟練技術がなくとも水陸両用ブルドーザーを誰もが使える一歩先の未来を目指すという思いが、青木あすなろ建設とコマツをつなぎ、「水中施工ロボット」の開発をすすめている。
新型機である水中施工ロボットは、2025年に開催する大阪・関西万博 未来社会のショーケース事業「フューチャーライフ万博・未来の都市」のパビリオンに青木あすなろ建設とコマツの協賛が決まっている。
水中施工ロボットは水深50mまで潜ることができ、最新のICT技術と制御システムにより現場から離れたオフィスで遠隔操作することもできる。誰でも操作できるとともに、働く人の安全を守ることが可能だ。また水底の土砂を掘削する作業だけではなく海の藻場・干潟を造成することで多くの水生生物が棲みつく環境となり、CO2吸収源であるブルーカーボン生態系の構築を目指す。「水中施工ロボットを使った未来の水中工事で、ブルーカーボン生態系の構築をはじめ、カーボンニュートラル、SDGsにと貢献していきたい」と飯塚氏は語った。

2025年大阪・関西万博「 未来の水中工事」


2025年に大阪府の夢洲にて開催される「大阪・関西万博」。
コマツと青木あすなろ建設は未来社会ショーケース事業「フューチャーライフ万博・未来の都市」のパビリオンに協賛する。会場では、水陸両用ブルドーザーが時代を超えて進化した水中施工ロボットが活躍する「未来の水中工事」を、迫力ある大型スクリーンを使ってショートムービーで紹介。また、水中施工ロボットのコンセプトマシンの精緻な大型模型や3Dディスプレイによる水中の体験演出等で楽しめる内容となっている。

(右:パビリオンイメージCG)