海に囲まれた自然豊かな熊本県・天草諸島。その主島の一つである下島に拠点を構える有限会社工藤ブルドーザー。公共工事を中心とした圃場整備や道路改良などの建機工事を専門に展開している。創業40年の歴史を誇り、天草の土木工事におけるリーディングカンパニーとして地域の建設業を牽引する。現社長は、2019年に就任した二代目の工藤政行氏だ。
同社の強みは建機を活用した建機工事の技術の高さだ。長年の経験で培われた優れた技術は安全かつ確実で、天草において他の追随を許さない。
(写真 有限会社工藤ブルドーザー 代表取締役 工藤政行 氏)
同社では、図面の3D化を必要としないクイックスマートコンストラクション(クイックスマコン)という手法によりICT施行を行っている。クイックスマコンとは、ICT建機の無限平面を作成する機能と平面図をモニターに表示する機能を活用し、簡単に3D施工を実現するICT施工の手法だ。測量は固定局を必要としないSmart Construction Rover (スマート・コンストラクション・ローバー)によるGNSS測量を行っている。レトロフィットキット装着機と連携することで、ローカライゼーションデータを測量しながら随時取り込むことができる。これにより、測量の手間を大きく省くとともに、簡単にICT施工が行える。
工藤社長は「測量に関しては、本当に助けられています。光波での測量で3、4日かかっていたものが、わずか3時間程度で完了します。また、図面の3D化も丁張も必要なく、労働時間を大きく削減できる。従業員が少ない企業にとっては本当に頼もしいです」と、ICT施工によるメリットを解説する。
同社ではICT建機を活用した業務を積極的に推進したい考えだが、自治体が行うICT活用工事の数がそれほど増えていないのが現状だ。そこで同社は、ICT施行による優れた工事品質や効率性を、元請けを中心とした業界関係者に広く理解してもらうために、従来施行に近い価格で業務を請け負いながら、適切と判断したケースでICT施行を行っている。これは、本体価格に若干の上乗せ程度の価格であるレトロフィットキット装着機とクイックスマコンの組み合わせだからこそ実現できる展開ともいえる。
レトロフィットキット装着機とSmart Construction Roverとの連携による、手軽で高精度な土木測量は、業務効率を更に高める
タブレットのモニターにより状況をリアルタイムで確認、正確な作業をスムーズに行う
工藤社長は地域社会の活性化にも積極的だ。天草市の若い人材は九州本土などで就職することも多く、天草市内では労働力不足が深刻化している。熊本県天草地区建設業協会では工藤社長を含めた若手経営者が中心となり、天草市の高校生が建設業に興味を持ち、地元企業への就職に関心を持ってもらうためのバスツアーを企画・運営している。建設現場を見学したり、コマツIoTセンタでICT建機に触れたり、建設業の魅力や面白さを実感してもらう内容だ。「天草市の労働力不足は建設業だけの話ではありません。いろんな業界が力を合わせて、地元就職を増やしたいと考えています」と、工藤社長は地域社会への思いを語る。
ICT建機を最大限に活用した土木工事により、天草市内での存在感を高めてきた工藤ブルドーザー。今後は更に積極的にICTを取り入れ、唯一無二の存在を目指すという。「ICT施行は速いし、正確だし、安全です。人材不足に悩む我々にとっては本当に便利なツールだと考えています。これからも、地域の建設業を牽引し、地元採用を含めた地域の活性化に貢献していきたいです」と、抱負を語る工藤社長。地域社会にしっかりと軸足を置き、その目は未来を見据えている。