孫を養子にする相続税対策

掲載日:2026年8月25日

【セミナでのご質問】

私は中小企業の経営者です。
現在、一人息子の長男が専務取締役として会社を手伝っており、長男には小学生の女の子が1人おります。
なお、私の妻はすでに亡くなっています。
私の財産は2億円程度になると見込んでいますが、私が亡くなった場合、相続税はいくらくらいになるのでしょうか。
また、相続税を少なくするために、今からできる対策があれば教えてください。

【キド先生からの回答】

1. 現状での相続税を計算してみましょう

現在、社長の法定相続人は長男1人です。相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があります。

したがって、法定相続人が1人の場合の基礎控除額は、
3,000万円+600万円×1人=3,600万円
となります。

財産が2億円とすると、
2億円-3,600万円=1億6,400万円

この1億6,400万円に相続税率を適用すると、
1億6,400万円×40%-1,700万円=4,860万円
となります。

したがって、現在のままであれば、相続税は約4,860万円と推定されます。

2. お孫さんを養子にするとどうなるでしょうか

相続税対策の一つとして考えられるのが、お孫さんとの養子縁組です。お孫さんを社長の養子にすると、法定相続人は長男と養子となった孫の2人になります。

法定相続人が2人になると、基礎控除額は、
3,000万円+600万円×2人=4,200万円
となります。

したがって、
2億円-4,200万円=1億5,800万円

この1億5,800万円を法定相続分で2人に分けると、
1億5,800万円÷2人=7,900万円

1人当たりの相続税額は、
7,900万円×30%-700万円=1,670万円
となります。

したがって、相続税の総額は、
1,670万円×2人=3,340万円
となります。

養子縁組をする前の4,860万円と比べると、相続税の総額は1,520万円減少する計算になります。

なお、相続税の計算上、法定相続人の数に含めることのできる養子の人数には制限があります。実子がいる場合は原則として1人までですので、今回のお孫さん1人については、この人数制限の範囲内となります。

※計算を分かりやすくするため、債務・葬式費用、生前贈与、生命保険金、未成年者控除などは考慮していません。

【キド先生のコメント】

お孫さんとの養子縁組は、法定相続人が増えるため、相続税対策として有効な場合があります。
ただし、孫を養子にした場合、その孫が実際に財産を取得すると、原則として相続税額が2割加算されます。
また、養子縁組をすると、お孫さんは法律上も相続人となりますので、相続税だけでなく、将来の遺産分割や事業承継についても考えておく必要があります。
必要に応じて遺言書を作成するなど、顧問税理士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。