掲載日:2026年7月10日
私は建設業を営む中小企業の経理担当者です。
当社では当期に油圧ショベルを購入し、経営力向上計画の認定も受けているため、即時償却制度を利用する予定でした。しかし、当期の利益見込みが大幅に下がったことから、社長より「即時償却も普通償却も行わず、減価償却費を計上しないでほしい」と指示がありました。このような場合、税務上は即時償却を行わないことは認められるのでしょうか。また、普通償却(通常の減価償却)も行わないことは認められるのでしょうか。
結論から申し上げると、法人であれば、即時償却を行わなくても、普通償却を行わなくても、税務上は問題ありません。
① 即時償却は「選択できる制度」
即時償却制度は、租税特別措置法第42条の12の4に定められている優遇税制です。
一定の要件を満たした設備を取得し、事業の用に供した場合には、その取得価額の全額を取得年度の損金にできる制度ですが、必ず適用しなければならない制度ではありません。そのため、経営力向上計画の認定を受けていても、会社の判断で即時償却を適用しないことは認められています。
② 普通償却も任意
法人税法では、減価償却費は、法令で定められた償却限度額の範囲内であれば、会社が任意の金額を計上できます。そのため、償却限度額まで計上することも、一部だけ計上することも、あるいは当期はまったく計上しないことも、いずれも税務上認められています。
したがって、ご質問のケースでは、当期は利益の状況などを踏まえ、即時償却を適用せず、通常の減価償却についても計上しないという処理を行っても、税務上問題はありません。
今回の取扱いは法人の場合です。
一方、個人事業主については取扱いが異なります。
即時償却制度を利用するかどうかは任意ですが、通常の減価償却については、原則として法定の方法により償却を行う必要があり、法人のように「今年は全く償却しない」という選択はできません。
また、実務では税務上の取扱いだけでなく、金融機関への決算書の見え方や会社の利益計画など、企業会計上の判断も重要になります。
そのため、即時償却や減価償却費の計上額については、税務だけで判断せず、顧問税理士と相談したうえで決定することをおすすめします。
