掲載日:2026年6月30日
私は中小企業の創業者で、現在は会社を長男に承継し、会長職を務めています。
今回は会社ではなく、私自身の相続について相談があります。
家族は妻、長男、長女の4人です。長男にはすでに会社を承継しているため、相続では長女にもできるだけ財産を残してあげたいと考えています。顧問税理士に相談したところ、私が所有する自宅の土地(A土地・330㎡)の相続税評価額は1億円とのことでした。
現在、その自宅には妻と私の2人で暮らしており、長男と長女はそれぞれ別の場所に住んでいます。将来、私が亡くなった際に、このA土地を妻に相続させるべきか、それとも長女に相続させるべきかで悩んでいます。
相続する人によって相続税の負担が大きく変わると聞いたのですが、どのように考えればよいのでしょうか。
結論から申し上げますと、ご相談のケースでは、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(以下、小規模宅地等の特例)」を活用することで、相続税の負担を大きく軽減できます。
ご相談のA土地はご自宅の敷地であり、相続税評価額は1億円とのことです。この土地をどなたが相続するかによって、相続税評価額に大きな差が生じます。
(対策案)A土地は、まず奥様が相続する
A土地を奥様が相続した場合、「小規模宅地等の特例」のうち《特定居住用宅地等》に該当し、330㎡までの部分について相続税評価額を80%減額することができます。
今回のケースでは、A土地の面積が330㎡であるため、土地全体が特例の対象となります。
・A土地の相続税評価額 1億円
・80%評価減後の評価額 2,000万円
つまり、相続税の計算上は1億円ではなく、2,000万円として評価されるため、相続税負担を大幅に軽減することができます。一方で、現在別居している長女がA土地を相続した場合は、原則としてこの特例を利用できません。そのため、相続税評価額は1億円のままとなります。
このようにA土地については、奥様が相続した方が相続税の税負担が軽減できます。
【注意事項】
① 小規模宅地等の特例を受けるためには、相続税の申告書にその旨を記載して申告する必要があります。
② 奥様が特例の適用を受ける場合は、原則として相続税の申告期限(相続開始から10か月以内)まで引き続きその自宅に居住していることが必要です。
長男にはすでに会社を承継されているとのことですので、「長女にも何らかの財産を残してあげたい」というお気持ちはよく理解できます。
ただし、A土地については相続税の軽減効果が大きいため、まずは奥様に相続させ、そのうえで奥様の相続時に長女へ財産を承継する方法や、A土地以外の財産を長女に多めに残す方法なども検討されるとよいでしょう。
また、将来の相続においてご希望どおりに財産を承継させるためには、あらかじめ遺言書を作成しておくことをおすすめします。
詳しくは顧問税理士等の専門家にご相談ください。
