定款に「譲渡制限条項」がある場合の注意点

掲載日:2025年10月24日

【セミナでのご質問】

私は中小企業の経営者です。
当社の定款には「株式を譲渡する場合は取締役会の承認を要する」との記載があります。
先日セミナーで「この条項がある場合は注意が必要」と聞いたのですが、どのような点に注意すべきでしょうか。

【キド先生からの回答】

多くの中小企業では、株主の分散を防ぐために、定款に「株式の譲渡には取締役会の承認が必要」と定めています。
この譲渡制限条項は、「株式の売買」に限らず、「株式の贈与」にも適用されます。
つまり、相続対策などで株式を後継者に贈与する場合でも、取締役会の承認が必要となる点に注意が必要です。


■通常の承認手続き件

株式を贈与する場合、次のような手続きが必要になります。

  1. 株式譲渡承認請求書の提出(贈与者 → 会社)
    → 贈与を行う株主が会社に対して、贈与の承認を求めます。
  2. 取締役会での承認手続き(会社)
    → 贈与先が適当かどうかを審議し、承認または否認を決定します。
  3. 株式譲渡承認通知書の交付(会社 → 贈与者)
    → 取締役会での結果を贈与者に通知します。
  4. 株式名義書換請求書の提出(受贈者 → 会社)
    → 贈与を受けた人が会社に名義変更を申請します。
【キド先生のコメント】

手続きをスムーズに進めるため、必要に応じて「株式贈与契約書」を作成しておくことをおすすめします。
すべての手続きが完了したら、株主名簿を更新し、関連書類はきちんと保管しておきましょう。
なお、手続き内容や書類の形式は会社によって異なる場合がありますので、司法書士などの専門家にご相談ください。