役員退職金の現物支給について

掲載日:2025年9月16日

【セミナでのご質問】

私は会社で経理を担当しています。
先日、社長から次のような相談を受けました。
「父親(現在の会長)が会社を完全に退職するので、これを機に会社が所有しているゴルフ会員権(会長個人名義)を、税務上問題のない方法で本人に譲りたい」とのことです。
このゴルフ会員権は、会社が1,200万円で購入したもので、名義は会長ですが、現在の市場価格はおよそ100万円とのことです。
なお、会長にはまだ退職金を支払っていません。
この場合、どのように処理すれば税務上問題がないか、アドバイスをお願いします。

【キド先生からの回答】

会社名義のゴルフ会員権を会長に譲渡する方法としては、「退職金として現物支給する」方法が考えられます。
これには次の判断が必要です。


  1. 退職者の同意を受けていますか。
    「退職金」の支払いは原則「金銭」ですが、「ゴルフ会員権」という現物で支給することで大丈夫でしょうか。
  2. 退職金の額は会社の役員退職金規程で算出された範囲内と判断して妥当な退職金ですか。なおこの機会に退職金規程を整備しておくと良いでしょう。
  3. ゴルフ会員権の評価額は、退職金支給時における時価となります。購入した時の取得価額1,200万円ではありません。時価の確認が必要です。相場の根拠を残しておくと良いでしょう。
【キド先生のコメント】

退職金として物品(現物)を支給する場合は、「その時点の時価」で評価することが原則です。
社長と会長が親族関係にあるため、専門業者に現在の相場を確認し、証拠を残しておくことが大切です。
具体的な金額設定や税務処理については、顧問税理士と十分に相談のうえ、進めることをおすすめします。