居住用不動産の配偶者への贈与に関する非課税特例

掲載日:2025年8月25日

【セミナでのご質問】

私は中小企業の経営者です。

このたび、長年連れ添ってきた妻に対し、感謝の意を込めて自宅不動産の一部(相続税評価で2,000万円相当)を贈与したいと考えております。税務上の優遇措置があれば教えて頂けますでしょうか。

【キド先生からの回答】

ご質問の場合では、「居住用不動産の配偶者への贈与に係る贈与税の配偶者控除」を適用できる可能性があります。

本特例は、一定の要件を満たすことで、贈与税の課税対象から除外される制度です。

 

■ 制度の概要

婚姻期間が20年以上の配偶者間において、居住用不動産またはその取得資金を贈与した場合、次の特例が適用されます。

  • 通常の贈与税の基礎控除(110万円)に加えて、最高2,000万円までの贈与が非課税となる

⇒ よって、合計2,110万円までが非課税枠として認められます。

この特例は、一般的な贈与税の基礎控除とは別枠で認められるものであり、適用により大幅な節税効果が期待されます。

■ 対象となる財産

  • 贈与時点において実際に居住している自宅不動産
  • または、その取得のための資金
  • 共有持分の贈与も対象範囲に含まれます。

■ 適用要件と留意点

本特例の適用を受けるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 婚姻期間が20年以上であること(※内縁関係は対象外)
  • 贈与を受けた不動産に実際に居住していること(形式的な登記のみでは不可)
  • 原則として一生に一度のみ適用可能
  • 非課税であっても、贈与税の申告書の提出は必要となります。
【キド先生のコメント】
本特例は、配偶者への不動産贈与における税負担を大きく軽減できる制度です。
ただし、登記に伴う費用(登記費用・登録免許税)、不動産取得税等は別途必要であり、税務上の非課税措置と費用負担のバランスを踏まえた検討が求められます。
詳しくは顧問税理士にご相談ください。