親族役員へのボーナス支給について

掲載日:2025年6月12日

【セミナでのご質問】

私は、ある会社で経理を担当しております。
当社では、社長の奥様であるA子さんが専務取締役を務めており、日頃から会社の業務に従事されています。
最近、顧問税理士の先生より「A子さんにもボーナスを支給して差し支えない」との説明がありました。それを受けて、A子さんご本人もボーナスの支給を希望されております。 このような場合、役員であるA子さんにボーナスを支給することは可能なのでしょうか?また、その支給は会社の経費として認められるのでしょうか?

【キド先生からの回答】

結論から申し上げますと、たとえ社長のご親族であっても、役員として実質的に会社の業務に従事している場合には、役員給与として適正な金額の給与や賞与を支給することは問題ありません。
ただし、役員に対してボーナス(賞与)を支給し、それを会社の損金(経費)として処理するためには、「事前確定届出給与」という制度を利用する必要があります。この制度には、以下の要件を満たす必要があります。

■事前確定届出給与の主な要件

  1. 所轄税務署への事前届出が必要です。
  2. 届出の期限は、以下のいずれか早い日とされています。
  3. - 事業年度開始の日から4か月以内
    - 株主総会等で役員報酬の決定をした日から1か月以内
  4. 届出を行ったとおりの金額および支給時期で賞与を支給しなければなりません。
【キド先生のコメント】
事前確定届出給与として支給される賞与は、通常の役員報酬と同様に、受け取る方の給与所得に含まれます。そのため、A子さんが受け取るほかの給与と合算して所得税が計算されることになります。