機械化とICT活用で、若手が活躍できる林業を実現

久大林産 株式会社 

代表取締役 工藤 洋一殿

伐採から搬出までの作業効率の高さが、コスト削減のポイント

「平成3年の台風19号後の風倒木処理の経験から、安全面はもちろん効率性の点から林業の機械化を痛感した」と語る久大林産㈱(大分県玖珠郡九重町)の工藤洋一社長。同社は、以後積極的な重機導入により、林道の造成や、伐採作業など、一連の山林作業の効率化、システム化を推進し大幅なコストダウンを実現した。

(写真:インタビューに答える工藤洋一久大林産㈱社長)

木を倒して搬出するまでの作業を効率的に進めることが、コスト削減の大きなポイントだと語る工藤社長。同社では、伐倒する方向を一定にするなど、効率アップに向けた作業内容の徹底に努める。「木材を同じ方向に伐倒することで、集材する重機の移動を最小限にすることができ、作業のスピードアップはもちろん、安全で効率的な作業が実現できます」。
重機の効率的な運用に積極的に取り組む工藤社長が、その作業性の高さと購入後のアフターサービスの充実ぶりから特に信頼を寄せるのが、コマツ製重機だ。「コマツのハーベスターは、ソーバーの玉切りスピードが速いため、切断面に裂け目をつくらずきれいに切断でき、切り分けた木材の長さもばらつきがなく、製品としての品質を高く保つことができます」。現在同社ではハーベスタ5台を含め、林業用機械30台を所有しており、その半分以上がコマツ製だ。

(写真:道路脇に設けられた貯木場には、大型トレーラーによる配送を待つ大量の丸太が積み上げられている)

全作業員18名中10名が30歳以下の若手が占める

高齢化が著しい業界にあって、若手後継者の育成に力を注ぐ同社では、林業へ関心を向けてもらえるよう、地元高校生を対象とした林業用重機のシミュレーター体験などを企画するほか、福利厚生の充実、チェーンソーなど作業機械を会社で用意するなど、社員の自己負担の軽減といった雇用環境の改善に努め、全作業員18名中10名が30歳以下という、若手社員が働きやすい職場づくりを実現した。
「山仕事は危険が伴う気が抜けない仕事です。当社では立木の伐倒、道具の手入れや使い方について、ベテラン社員がしっかりと指導するなど、人材育成に力をいれています」。
休日の確保、現場作業環境の整備など、無理のない就労環境で若者が働きやすい職場づくりに取り組む同社では、将来を担う若者の就労を促すためにも林業の機械化は不可欠との考えから、作業の安全性や省力化につながる重機の導入を今後も進めていきたいと考えている。

(写真:伐倒された丸太の枝打ちと集材をこなすコマツ製ハーベスタ)

NPO法人で山を委託管理。長期の山林管理で経営安定化目指す

伐採事業を主とする企業が多くを占める業界内にあって、植林から山の管理まで手掛ける数少ない企業の一つである同社では、その特徴を生かし、NPO法人による山の管理事業に取り組んでいる。山林のオーナーから山の管理をNPO法人に委託してもらい、植林、管理、素材生産に至る一連の作業を一貫して同社が受注。その結果持続可能な安定した経営が可能になるという。今後は同事業と平行して自社林による山林管理事業にも力をいれていくという。

(写真:ハーベスタによる造材作業)

地質、地形など日本の山林に適したベースマシンの開発に期待

ICT、Iotを活用したビジネスモデルが社会を大きく変えようとしている中、若手の人材確保と生産コスト削減を目指し、林業の現場にもICT化の取り組みが次第に浸透しつつある。
「伐採した木材の造材から製材工場への出荷まで、コマツが提供するIotシステムがコスト削減の参考になる」と語る工藤社長。造林や仕分け作業が自動化され、素材の生産量、丸太の長さや太さ、等級といった造林仕分け作業など、これまで人手に頼っていたものが自動で計測が可能になり、製材工場への配送の効率化が図れるなど、人件費と手間を大幅に削減できるようになったという。「高性能な林業機械の導入により、ヨーロッパでは大幅な省力化を実現しています。地質や地形など日本の山林に適した優れた林業用のベースマシンの開発が進めば、日本の林業の将来はもっと明るいものになる」と、今後のコマツの林業機械開発に期待をにじませた。

(写真:バケット付きグラップル装着車両)

お客様プロフィール

久大林産 株式会社
<事業内容>
■総合林業・伐採・造林業

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