土木部次長 木村高康 様
阿蘇地域を中心に道路、河川などの土木工事で高い実績を誇る㈱杉本建設(熊本県阿蘇市役犬原、杉本素一社長)。熊本地震発災後の復旧工事で、同社はICT建機を活用した建設現場ICTソリューション「スマートコンストラクション」を採用した。「これまでの経験や勘が幅を利かせていた施工管理の在り方が、同システムを導入したことで、大きく変わった」と話す。
スマートコンストラクションがもたらした施工管理の新たな可能性、作業の効率化と安全性を両立したこれからの建設現場の姿について同社木村高康 土木部次長に聞いた。
(写真:今回取材に応じて頂いた木村高康 土木部次長)
効率的で迅速な工事期待しICT建機導入
かねてからICT建機に関心を向けていたと語る㈱杉本建設の木村次長は、一刻も早い復旧が求められる災害復興の現場に、レンタル機としてコマツのICT建機を投入。合わせて建設現場ICTソリューション「スマートコンストラクション」のサービス提供を受け施工管理に臨んだ。
「全く新しい技術なので、信頼性や、実際期待通りに使えるのだろうかという不安はありましたが、効率的で迅速な工事が可能で、現場の省力化も期待できることからコマツのICT建機の使用を決めた」と話す。
近年国が推進するi-Constructionの動きに合わせ、各建機メーカーもICT施工に対応した建機を開発。レンタル機としても数多く市場に登場している中、同社はコマツのICT建機を選択する。
木村次長は「施工に必要な3次元の測量、設計データの作成をコマツに一括して依頼することが可能なため、全体を通して常にきめ細かい支援が受けられる」、「コマツの担当者がICT施工についての経験・知識が豊富で、疑問点にもすぐに対応してくれる」とその理由について語った。
(写真:現場の進捗状況は、逐次現場事務所のパソコン上で確認できる)
スマートコンストラクションが層厚管理を一変
土木工事の中でも特に盛土工事は、設計通りに施工していても沈下の可能性が排除できないことから、工事途中に天端の確認や丁張りのかけ直しといった作業が欠かせないという。木村次長は、ICT建機を使ったことで、盛土工事のこれまでのやり方が大きく変わったと話す。
「ICT建機を投入して特にメリットを感じたのが盛土工事ですね。土木工事の中でも特に手間のかかる工事ですが、ICT建機はそれ自体が高度な測量機械といえるものなので、沈下した場合改めて測量をし直すという手間をかけずに作業を進めていくことができ、大幅な工事の効率化が図れます。しかもこれまでの半分の人員で従来に比べ1.5倍ぐらいの規模の工事が可能になりました。
(写真:上空から現場を見渡し、工事の進捗状況の把握に活躍するエブリデイドローン)
Everyday Drone(以下エブリデイドローン)の活用で日々変化する現場をすぐに「見える化」することが可能に 短時間の測量で工程のずれ込みも解消
建設現場の測量作業が、ドローンによる測量へと次第にシフトしていく中、経験や勘が幅を利かせていた従来の施工管理のあり方も大きく変わろうとしている。 木村次長は「エブリデイドローンを飛ばせば、日々の工事の進捗状況を把握できるため、工程管理の効率と精度が格段に上がった」と話す。
「エブリデイドローンを使い上空から見渡せば、日々の施工の進捗が短時間で把握できます。その結果、現場全体の進捗状況を念頭に置きながら施工管理が可能になり、手戻りを減らすことにもつながります。施工進捗状況もが具さに分かるので、工事の出来高管理の精度も上がった」という。 「これまでは工事の半分が終わっていれば半分の出来高という具合に、工事全体の進み具合から各工区の進捗を割り出して計算していたのですが、エブリデイドローンやICT建機を活用することで、実際に仕上げた仕事量を基に出来高の計算が出来るようになった」と話す。 加えて雨天後の測量も標定点、検証点の設置が不要のため短時間で終えることができ、測量待ちによる工事のずれ込みを心配することも無くなったという。
(写真:エブリデイドローンが撮影したデータを、SDカードを介して読み取るエッジボックス。撮影されたデータを3次元データ化し、点群データ作成や不要物の除去処理などを行う)
現場の安全と効率化を両立できる施工管理の実現に期待
今後は3次元データの効果的な活用方法を蓄積し、より効率的な施工管理にどう生かしていくかを考えていきたいとする同社では、安全管理と効率的な運用を両立できる施工管理の実現を目指す。「事故予防に向け、現場内で稼働する重機の位置情報の把握や、作業員への接触事故を防ぐため、作業中の重機の可動域に制限を設けるなどの仕組みがさらに高度化していくことを望んでいます。ICTを駆使したそうした安全対策の充実が、重機作業の安全性を高めると同時に、オペレータの負担を軽減し、ひいては一層の作業効率アップにつながるのでは」と語った。
(写真:3次元設計データを基に高い精度で現場作業をこなすコマツのICT建機)
株式会社 杉本建設
<事業内容> ■総合建設業 土木工事・舗装工事・管工事・造園工事 とび土工・コンクリート工事・建築工事 ■不動産事業 自社ビル管理・賃貸及び仲介に関する業務 ■環境改善事業
HP:http://sugimoto-group.co.jp/