365日止まらない現場。食の安全と働く人を機械化が支える

宮崎ムラチクグループは、畜産業の機械化を推進し、持続可能な農場運営を実現。

宮崎に根差した総合畜産グループ

 宮崎県南部の宮崎市古城町に拠点を構える株式会社宮崎ムラチク。創業は1988年、食肉卸業からスタートした。その後、養豚、養鶏、肉用牛の肥育へと領域を広げ、現在では飲食業や不動産業も手がけるなど、畜産を軸に多角的な事業展開を進めている。
 創業者であり、現在は顧問を務める永野春海氏は「当社の一番の強みは借金がないことです。堅実に一つひとつ事業を育てて、徐々に事業を拡大してきました。手堅く信頼を積み重ねて、現在に至っています」と同社の歩みを語る。

(写真:株式会社宮崎ムラチク
顧問
永野春海 氏)

グループ全体で使用する建機を最適運用

 同社とコマツとの関係は、2012年にミニホイールローダーWA40を中古で導入したことに始まる。現場での有用性が高く評価され、現在では毎年2台程度の建機を継続的に導入し、コマツの建機はグループ全体の運用に欠かせない存在となっている。
 建機の導入は宮崎ムラチクが一括して行っている。グループ会社の農場の稼働状況や作業内容を把握したうえで、グループ全体のコストや収益バランスも踏まえながら、必要な機種・台数を見極めている。導入された建機は各農場へと配置されるが、その運用は固定的ではない。農場ごとの作業内容や繁忙状況に応じて、グループ内で柔軟に移動や再配置調整が行われ、常に最適な状態で活用できる体制が整えられている。

電動式建機で快適な養豚環境を実現

 宮崎県東諸県郡綾町に拠点を構える有限会社日武畜産は、養豚を担うグループ会社の一つ。約5,000頭の豚を飼養している。豚舎の床には約40cmの厚さに敷き詰めたオガクズを使用し、微生物の働きによって糞尿を分解・発酵させることで、衛生的な飼養環境を維持している。
 発酵を促進するにはオガクズを撹拌する必要があり、その作業に使われているのが電動マイクロショベルPC05E-1だ。バケットでオガクズを持ち上げ、撹拌する。豚舎の大きさに適したコンパクトなサイズで、取り回しの良い作業を実現している。「動物は音に敏感です。大きな音に反応して騒いでしまうこともあります。その点、電動式は静かなので動物にストレスを与えることなく作業でき、排ガスがないのもいいですね。豚にも作業する側にも安心です。また、低振動なので身体への負担が少なく、快適に作業できます」と日武畜産の農場の管理を行っている黒木智氏は語る。
 糞尿を含んだオガクズは堆肥として再利用される。同社では、専用機械で撹拌を行うスタイルの堆肥舎を導入している。一定期間を過ぎた豚舎のオガクズを堆肥舎へと移動し、撹拌・発酵させることで有機質堆肥を生産している。豚舎から堆肥舎へのオガクズの搬送作業を担っているのが、ホイールローダーのWA100-7とミニホイールローダーのWA50-8だ。「大量のオガクズを効率的に移動できます。パワーがあるのでしっかり運べますし、安定した作業が円滑な農場運営を支えています」と黒木氏は話す。

(写真:有限会社日武畜産で農場管理を担当する黒木智氏。コンパクトなPC05E-1を操作し、豚舎内でオガクズの撹拌作業を行う)
PC05E-1専用充電器。家庭用の100V電源で充電ができる
豚舎から搬出したオガクズを堆肥舎へ運搬するWA100-7

建機の活用により、食の安全と効率を両立

 日南市南郷町に拠点を構える有限会社南郷ファームは、養豚、養鶏、肉用牛の肥育に加え、食肉加工までを手がける総合畜産企業だ。同社の豚舎は日武畜産とは異なり、オガクズ床ではなくコンクリート床を採用している。1カ所に集められた糞尿は糞と尿に分別され処理される。糞は堆肥となり、尿は浄化槽で処理し放流する。
 同社では、糞をオガクズと混合して堆積し、ブロアーで空気を送り込みながら発酵を促進する方式で堆肥化を行っている。微生物の働きによって高温で分解が進み、堆肥が生産される。ここでもWA50-8が、オガクズと糞の混合物を堆肥舎へ積み込む作業や、生産された堆肥の移動などで活躍している。「コマツのミニホイールローダーは、バケット操作が滑らかで扱いやすいですね。堆肥を高く積み上げる作業でも安定感があり、安心して使えます。毎日使う機械だからこそ、作業効率やオペレーターの負担軽減につながっています」と南郷ファーム社長の西岡佑樹氏は語る。
 同社では食肉の安全性を最優先し、バイオセキュリティ対策を含めた万全の飼養衛生管理体制を構築して『農場HACCP認証』を取得。安全・安心な食肉の供給に取り組んでいる。「安全は最重要課題です。コマツの建機のおかげで効率的な作業が可能となり、その分、安全性の確保に注力できます。コマツは安全な農場運営には欠かせないパートナーです」と西岡社長はコマツを評価する。
有限会社南郷ファーム
社長
西岡佑樹 氏

南郷ファームの堆肥舎内で堆肥の積み込み作業を行うWA50-8

機械化が支えるこれからの畜産業

畜産業は深刻な人手不足に直面している。事業を成長させていくうえで機械化の推進は欠かせない。「畜産業は365日、休みがありません。限られた人手のなかで、いかに効率よく現場を回していくか。そのためには機械による自動化が必須です。機械であれば故障しても直すことができますが、人が倒れてしまっては意味がありません。会社の成長のためにも、働く人のためにも、今後も積極的に機械の導入を推進していきます」と機械化の重要性を永野顧問は説明する。食の安全と快適な作業環境の構築。その両立を実現するうえで、機械化は欠かすことのできない要素となっている。グループ全体を俯瞰し、建機の導入と施設の機械化を積極的に推進する宮崎ムラチク。この戦略的な取り組みは、これからの畜産業の一つのモデルケースといえるだろう。
(写真:山々に囲まれた南郷ファーム。地域に根差しながら、総合的な畜産事業を展開している)