空港運営を支える現場から、持続可能な未来へ

ANA大阪空港株式会社は、環境負荷の低減や業務の効率化、そして安全性向上を見据え、「FE30G-2」を導入。

ANAグループの一員として空港運営を担う

ANA大阪空港株式会社はANAグループの一員として、大阪国際空港(伊丹空港)および神戸空港の運営を行っている。ANAの空港オペレーションに関わる業務を総合的に担い、安全で円滑な運航を支え、エアラインの基地機能を担う重要な立場として、グランドハンドリング業務、旅客サービス業務、貨物郵便サービス業務など、多岐にわたる業務を通じて空港運営に携わっている。「飛行機の牽引に用いるトーイングトラクターについては、長年にわたりコマツ製を採用しています。日本を代表する建設・産業機械メーカーとして高い信頼を寄せています」と取締役 安全推進部長の上野進也氏は語る。
(写真:ANA大阪空港株式会社
取締役 安全推進部長
上野進也 氏)

フォークリフトの電動化を推進

 同社では空港運営に関わる領域でのCO₂排出削減に取り組んでおり、フォークリフトをはじめとした機器の電動化も重要な取り組みの一つである。「構内に搬入されるトラックからの航空貨物の積み下ろしやコンテナの受け渡しなど、貨物ハンドリングの中核となる工程でフォークリフトが稼働しています。空港全体の物流を支える機器であるからこそ、環境負荷の低減は大きなテーマです」と貨物郵便サービス部長の山下浩氏は語る。
 こうした考えのもと、同社ではフォークリフトについて、更新時期を迎えた車両から随時、新しい機種への入れ替えを進めてきた。2024年9月の更新のタイミングでは、操作性や安全性などを総合的に評価した結果、コマツのリチウムイオンバッテリー搭載の電動式フォークリフトFE30G-2を2台導入することを決めた。
ANA大阪空港株式会社
貨物郵便サービス部長
山下浩 氏
バックレストは、航空貨物コンテナの幅に合わせ、タイヤ幅よりも広いANA仕様となっている。安定性を高め、安全性の向上につなげている

オペレーターと環境に負担を与えるエンジン式

 従来はエンジン式のフォークリフトを使用していたが、さまざまな課題が指摘されていた。まず挙げられるのが排ガスの問題だ。多くの荷物が集中するピークタイムには、トラックを含め相当数の車両が同時に構内に集まる。換気には十分に配慮しているものの、それでも排ガスの影響を受けてしまう。昔はオペレーターの耳元に煤が溜まり、大変な思いをしたという話も残っている。
 騒音も課題の一つだ。運搬作業では、オペレーターがコンテナ番号を復唱したり、指示を聞き取ったり、会話によるコミュニケーションが欠かせない。ところがエンジン音が大きいと、聞き間違いや聞き直しが生じやすくなり、作業の進行を妨げる要因となることがあった。
 振動も無視できない問題だ。長時間作業を行うオペレーターにとって、車体から伝わる振動は身体への負担となる。また、積載する貨物に振動を与えてしまうケースもあり、細心の注意を払った作業が求められていた。
(写真:電動式フォークリフトの充電作業。継ぎ足し充電により、ピークタイムを避けながらフレキシブルな運用が可能)

電動式フォークリフトの導入で作業環境を改善

 これらの課題は、フォークリフトを電動式へ切り替えることで改善された。まず、排ガスが発生しないため、作業空間はクリーンに保たれ、環境負荷の低減に加え、オペレーターの健康面への不安も軽減された。静音性にも優れており、作業中の声かけや指示の伝達が円滑に行えるようになったことで、業務のスムーズな進行に寄与している。
 また、電動式は振動が少ないため、長時間の運転においても作業者の負担が軽減され、積載する貨物への影響も抑えられている。こうした総合的な改善により、作業環境は従来と比べて大きく改善された。

豊富な安全機能が安心感のある作業をサポート

 カーブを曲がる際、ステアリング量から旋回半径を自動的に検知し、車速を自動制御する機能によって、安定した走行が可能になった。これは転倒リスクの低減に役立っている。また、ブレーキ性能も向上しており、アクセルペダルを緩めるだけでスムーズに減速・停止できるほか、密閉湿式ブレーキが安定した制動力を発揮する。これらの機能が組み合わさることで、安全性と操作性を高いレベルで両立している。
「安全運転を行うことが大前提ですが、このような安全機能が豊富に搭載されていることは作業時の安心につながり、余裕を持って作業に臨むことができます。また、運転席の位置が高いため視認性にも優れ、作業者との接触回避にも役立っています」と協力会社のオペレーター、TBKエアポートグランドサービス株式会社 貨物郵便サポート部の三浦菜生氏は語る。
(写真:TBKエアポートグランドサービス株式会社
貨物郵便サポート部
三浦菜生 氏)

効率的でフレキシブルな充電で業務を効率化

 充電時の安全性や使い勝手も高く評価している。「充電ソケットが正しく装着されていないとアラームで知らせてくれるので助かります。また、充電中の電力量が表示され、何パーセント充電されているのかがわかるのも便利です。作業計画の目安になります。安全性や快適な操作性など、FE30G-2はさまざまな面でユーザーフレンドリーな機械だと思います」と三浦氏は語る。

人と人とのリアルなふれあいの場を大切にする

 ANA大阪空港株式会社は地域に根差した企業として地域貢献活動にも積極的だ。空港で開催されるイベントや自治体主催の催しに参加し、地域住民との交流を深めている。子ども向けには、航空業界に触れる機会の提供。学生向けには自治体が実施するインターンシップに参画し、生徒を受け入れて職業体験の場を設けている。これらの活動を通じて、空港をより身近に感じてもらうことを大切にしている。「人と人とのふれあいを通して、人の夢や感動に貢献していきたいと考えています」と上野取締役は語る。今日も空港の現場で人と向き合い、空を翔ける仕事を支えている。

長年にわたり採用されてきたコマツのトーイングトラクターによる航空機の牽引作業