安全と効率を追求する採石現場の最前線

ヤナイグループは、圧倒的な石材生産量と安定供給を強みとし、人と機械が支え合いながら進化する。

製造から海上輸送までの一貫体制が強み

 周防灘をのぞむ北九州と山口の沿岸部に拠点を構え、1946年の創業以来、採石事業を中心に展開してきたヤナイグループ。グループには、株式会社ヤナイ、黒髪石材株式会社、新門司砕石工業株式会社、向島石材株式会社、株式会社吉見の5つの採石場がある。これらすべて、沿岸部に位置し、自社専用の荷役岸壁を完備し、船舶で輸送している。「年間120万㎥以上の石材を安定的に供給しています。製造から海上輸送までを一貫して担える体制こそが、当グループの強みです」と株式会社ヤナイ 取締役の柳井達秀氏は語る。
(写真:株式会社ヤナイ
取締役
柳井達秀 氏)

効率的な業務をサポートするコマツの建機

 採石場での業務の流れは、まず岩盤に発破を行い、大きな岩塊を破砕する。その後、サイズごとに選別を行い、必要に応じてさらに細かく砕く。適正な大きさに揃えられ出荷される。この一連の工程を支えているのがコマツの建機だ。発破後の岩塊処理には、油圧ショベルが活躍している。PC800-7が岩盤を取り崩し、ダンプトラックへと積み込む。さらに細かな破砕が必要な場合は、ブレーカーを装着したPC450-11が小割作業を行う。PC350-11にはフォーククローが取り付けられ、破砕された砕石の選別作業を行う。一方で、沈砂池に堆積した土砂の浚渫には、バケットを装着したPC450-11が使われる。
 採石の構内移動や出荷には、HD325-7やHD465-7といったダンプトラックが用いられ、道路幅や現場の状況に応じて使い分けている。積み込み作業を担うのはホイールローダーだ。大きな岩石のハンドリングにはツース付きバケットを装備したWA600-6を、そして選別後の採石の積み込みには通常バケットのWA500-6を使う。
 発破から破砕、選別、積み込み、出荷に至るまで、各工程に最適なコマツの建機を使用することで、作業効率と安全性が高いレベルで維持されている。
発破後の岩塊をブレーカーで小割するPC450-11
石材表面に付着した土砂を洗い落とす独自の洗石設備。海域への濁水流出を抑える

使いやすさ重視のカスタマイズ

 同グループに導入されているコマツの建機の多くは“ヤナイ仕様”にカスタマイズされている。採石場が沿岸部に位置することから、塩害対策としてサビに強い塗装が施されているほか、採石というハードな作業環境に耐えられるよう、バケットまわりが補強されている。「これまでのコマツとの良好なパートナーシップのもと、当社仕様にしてもらっています。私たちの声をどんどん建機に反映していただいているので、本当に使いやすくなっています」と株式会社ヤナイ 太刀浦事業所 所長の有松寛氏は語る。コマツにとっても現場のニーズをストレートに取り込むことができ、より現場に適した建機の開発につながっている。
(写真:株式会社ヤナイ
太刀浦事業所 所長
有松寛 氏)

安全で快適な作業環境を提供

 現場からのコマツに対する評価はとても高い。油圧ショベルに関しては、左右のレバーコンソール位置を微調整できるため、オペレーターに合った最適な姿勢で操作できる点が好評だ。「長時間作業しても疲れにくいですね。シートのサスペンションもしっかりしていて、一日中乗りっぱなしになる作業でも、身体への負担が少なくて助かっています」と株式会社ヤナイ 太刀浦事業所のオペレーター平井俊行氏は語る。
 安全装備への信頼も厚い。油圧ショベル、ホイールローダーのいずれにも後方監視カメラが標準で装備されている。同グループでは、建機の後方を通行する際、必ず無線でオペレーターに知らせるルールを徹底しているが、それに加えてバックモニターによる後方確認で、より安全な作業環境が実現できているという。
(写真:株式会社ヤナイ
太刀浦事業所
平井俊行 氏)

コマツのAI制御の検証に協力

 同グループでは、コマツが進める建機のAI化に関する検証にも協力している。コマツが実施した検証実験では、ホイールローダーでのバケット操作を対象に、設定した目標重量にどれだけ近づけて土砂をすくえるかを、AI制御と熟練オペレーターで比較し、さまざまなデータが収集された。結果は、現場経験を持つオペレーターの精度がAIを大きく上回ったという。「AIの精度はこれからさらに上がっていくでしょう。もしまたAIと勝負する場合は、いつでも受けて立ちますよ」と平井氏は笑顔で語る。

十分な安全対策を推進

 採石作業は危険を伴う業務のため、現場での無線による声かけをはじめ、日々の作業のなかで多角的な安全対策が実施している。その取り組みの一つが、コマツ主催の安全講習である。年に2回程度、コマツの担当者が危険時の操作や注意点について、実機を使った細かな指導を実施している。「安全な作業をしてこその現場です。日々、安全にできるよう準備を進めています。遠隔操作や自動運転にも大変興味がありますし、これらの技術が実現すれば安全性は格段に向上します。人材不足への対応としても有効な手段になると考えていますので、積極的に検討していきたいですね」と柳井取締役は語る。

環境、そして地域と共に成長を目指す

 同グループでは、環境保全や地域社会との共生にも積極的に取り組んでいる。環境保全に向けた取り組みの一例が独自の洗石システムだ。毎分15㎥を超える強力な水流で石材表面の細かな汚れを洗い落とす装置で、海中投入時の濁りを大幅に抑制する効果がある。そのほかにも採石現場の採石後の緑化や大型散水車による道路清掃など、環境負荷の低減に向けた対策を継続的に行っている。
「採石事業は、地域社会の理解と協力、そして自然環境への配慮があって初めて成立します。地域の活性化と環境保全にしっかりと取り組み、地域社会と共に成長していきたいと考えています」と柳井取締役は語る。ヤナイグループは、採石事業を通じて社会基盤を支える企業として、これからも地域に根差した歩みを進めていく。