タマイシ3Dマネジメントシステムを確立し、i-Constructionに全て対応

玉石重機 株式会社 

社長 玉石 修介 様

ICTが丁張作業を劇的に簡素化

福岡県内を主な事業エリアに、九州各所のダム、港湾、空港建設などの大型土木工事を数多く手掛ける玉石重機㈱(福岡市 玉石修介社長)。同社では国が推進するi-Construction(情報技術を多用することで、建設施工現場の生産性向上を目的とした取り組み)にいち早く着手し、安全で、効率的な施工現場の実現に向けたICT化に積極的に取り組んでいる。

「国が推進するi-Constructionの流れに歩調を合わせ、当社でも施工現場で活用できるICT化に向けた取り組みを進めています」と話す玉石重機㈱の玉石修介社長。

同社では10年程前から情報化施工に取り組み、5年前には既に『タマイシ3Dマネジメントシステム』を確立し、ドローンを用い設計・測量作業に必要な3Dデータを作成。施工現場の土量計算・施工計画・形状確認に活用することで、これまで時間と手間を要していた作業の時間短縮並びに合理化を実現している。

(写真:自社のICT化の現状について語る玉石修介社長)

「施工現場のICT化で、特に効果を実感しているのが、丁張り作業の省力化ですね。従来の法面施工は、板と杭を使い、法面の勾配を示した丁張をいくつも斜面に設置し、それを基準に作業を進めるのですが、カーブしている法面の丁張は、施工精度を確保するため、直線部に比べより狭い間隔で設置するため、作業に大変手間がかかっていました。しかも丁張り通りに施工が出来ているか、重機のオペレータは度々運転席から降りて、目視で確認するということを繰り返さなければなりませんでした。
今ではICT建機の導入で、運転席の3次元パネルの表示を見ることで施工の状況が把握できるようになり、丁張りのために、測量班が杭や板を抱え、法面を上り下りすることもなくなりました」。

新技術に対応した施工基準や技術者育成が課題に

深刻な人手不足の解消、3K職種からの脱却、生産性向上を目指し、2016年を境に国が本格的に導入を推進するi-Construction 。この施策はドローンの活用により、測量精度及び作業効率の向上や3Dデータによる設計・施工計画及び事務作業の大幅な省力化、自動制御が可能なICT建機による正確で安全な作業の実現など多くのメリットが期待される一方で、新技術に対応した新たな基準や法律の整備」、「高価なICT建機導入のための資金調達」、「ICTに対応できる技能労働者の育成」など未だ多くの課題が残されているという。

(写真:メガソーラー造成工事現場(佐賀県))

i-Construction の投資は効果が見込める部分から

「i-Constructionを推進していく上での一番の課題は設備投資資金の問題です」と玉石社長。短期間で更新されるコンピュータ機器やソフトの費用をどう手当てするか。またそれを使いこなすための技術習得の方法や、施工現場に即した効率的な使用法の確立が必要だと説く。
「i-Constructionへと業界がシフトしていく現状で、当社としても新たな技術の習得が必要だと感じ、まずは自社でやれるところから手掛けていこうと考えています。新技術の導入は、人材育成、設備投資も必要ですので、効果が見込める部分がどのあたりにあるのか確かめながら進めていきたい」。さらに「技術の進歩は早いですが、法律や基準、業界も追いついていないのが現状ではないでしょうか。ただi-Constructionについては国もかつてないほど柔軟な対応を見せてくれています。導入コストだけが嵩むことがないよう、新しい技術のメリットが生かせる施工基準の見直しが今後進むことを期待しています」と語った。

(写真:現場で活躍する大型油圧ショベル「PC1250-8」)

ホコリを立てない建機の開発に期待

i-Constructionが目指す現場作業の自動化、ICT化は、業界の労働環境の改善やイメージアップにつながり、しかも魅力ある職場として若者に強くアピールできることから、少子化による人材不足の解決策としても期待されている。
「ICTを駆使した高度な仕事内容や、省力化に向けた取り組みを進めることで、建設業が魅力的な仕事として若者に関心をもってもらえるきっかけになるのではと思います。特にコマツの重機は他メーカに先駆けICT化に取り組まれていますので、魅力的な重機が揃っていると思います。また、無人化施工に用いるラジコン機は自然災害が頻発する日本ではこれからますます必要な技術です」。
さらに玉石社長は、これからの重機に必要な機能として「ホコリをたてない重機」の開発を挙げた。
「工事現場周辺への騒音対策として、低騒音の重機は既にありますが、工事中に発生するホコリを減らす工夫を施された重機はまだありません。音に加え、ホコリも近隣対策としては無視できないものです。農地であれば、作物への影響が考えられますし、住宅地であれば車や洗濯ものを汚してしまう原因にもなります。
建設機械にもこうした現場周辺の環境に配慮した機能が今後求められる時代になってきたと思う」と語った。

(写真:ICTブルドーザー「D65PXI-18」)

お客様プロフィール

玉石重機 株式会社

<事業内容>
■道路工事 ■敷地造成工事 ■ダム建設工事
■ゴルフ場造成工事 ■硬岩特殊掘削
■無人化施工 ■情報化施工
■河川工事 ■一般土木工事 ■土壌処理
HP:http://www.tamaishi.co.jp/


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