現場のミライ探訪 Vol.2 株式会社ミヤベ 様(後編)

業界を変えるのは DX+人材活用

前回143号では、株式会社ミヤベの宮部範久副社長からは、旧来の「業界のあり方」そのものを変えたいという熱意を、また勢羅満子課長からは新しい技術の適切な活用と、その革新への期待感を聞くことができた。
ミヤベのチャレンジは、技術の導入ばかりではなく、これらを使いこなす多彩な人材の活躍を支えようという姿勢にある。

多彩な人材、この“振れ幅”がミヤベを強くする

「うちには、270キロを持ち上げたベンチプレスの世界チャンピオンがいるんですよ」と宮部副社長。この社員は、終業後の趣味が高じて世界大会で成果を出したそう。
また、高度人材であるミャンマー出身のタスーライ氏は、ほかの6名いるミャンマー人スタッフの「お世話係」的な立ち位置として入社したが、3D-CADの知識を持っていたことから、SmartConstruction Dashboard導入時の戦力となった。

新しい技術を習得しつつ、 自らのキャリアもランクアップ

ミヤベが手がけている古屋山腹工事は急峻で危険な現場だ。この状況下で、ドローン撮影をしていたのは、営業本部の池内明彦課長だ。同氏は元々体育教師をしていたが、ミヤベに転職。当初、災害現場確認用に使われていたドローンを、YouTube動画の撮影など広報にも活用することになり、池内課長がこの業務を担当していた。ところが、Smart Construction Dashboardの登場でドローンの重要性が高まり、今では若手中心に社員全員がドローンを扱えるよう、教育を徹底しているという。
営業部 営業課 タスーライ氏
佐賀大学大学院を卒業後、高度人材として2023年ミヤべに入社

ドローンの可能性を語る

営業本部営業部 課長 池内明彦氏

金融業界から土木建設業へ転身

SNSや、書類のクラウド化を推進する同社の「攻める総務」を率いるのは、高崎航地次長である。高崎次長は広島の信用金庫に勤めていたが、2021年、宮部副社長に請われ転職を決意。同氏はもう一つのライフワークとしてサッカーレフェリーの活動をしているが、ミヤべはこれを応援すべく、柔軟な就業体制を整えている。
社員の「夢」「生活」「人生」を支えたいという宮部副社長の思いが、社員の個性を活かし本業にも成果をもたらし続けている。先進技術の導入だけではなく、多種多彩な人材を採用しながら、新しいチャレンジを続けるミヤベのこれからに注目したい。

サッカーレフェリーとしての顔も持つ

管理本部総務部 次長 高崎航地氏

Smart Construction®のソリューションを筆頭にデジタル技術が急峻な現場で果たした役割の一部をご紹介

1.天空率の算出

ICT施工やGNSS測量を実施するには、安定した衛星の捕捉が必要になる。従来は、現場の上空にGNSSを遮蔽するものがないか目視で確認をするか、個々による感覚で判断せざるをえなかったが、DXの活用で地 形データを利用し、空が見えている割合(天空率)が算出可能になった。局所的にGNSSの捕捉できない箇所も確認でき、無駄なく丁張りを設置。施工計画に有効な機能だ。

2.ドローンを使用した起工測量

危険な急斜面での測量作業をドローンで行うことにより、安全性が向上。作業時間も大幅に短縮された。建機の運転と測量を実施するタイミングが重複することもなくなり、建機周辺の安全が確保された。

3.施工計画検討

急峻な斜面の仮設道路計画の検討は、二次元で行うことが難しい。デジタルツインを使用することで、勾配や距離を簡単に把握することが可能になり、計画の検討が容易になった。

4.切盛土量の把握

ドローン計測により取得した現場の点群と完成形状3Dモデルをデジタルツイン上で重ねて比較することで土量を算出。土配計画の補助として活用することで、時間短縮と業務効率化につながった。エリアを指定することで、部分的な土量の算出も可能に。

5.進捗状況の確認と管理

日々のドローン計測により、進捗状況をクラウド上で管理できるように。また、Smart Construction DashboardとICT建機を連携することで、建機の施工履歴をSmartConstruction Dashboard上に自動で反映することが可能。

6.雨水対策モデル

法面施工時に雨が降ると、法面崩壊や土砂流出など大きな被害が発生する可能性がある。事前に雨水の流れを予想することで、対策が打てた。

※1 Smart Construction Dashbord   ※2 Smart Construction Design3D