日本の林業課題解決の一助に-ZOUZAIウォッチャー-

森林によるCO2吸収効果やバイオマス燃料による発電など、脱炭素社会において注目が集まっている林業。
木材の需要が年々増加する一方で、日本の林業はさまざまな課題を抱えています。
その一つが、日々の業務における造材管理が容易ではないことです。
コマツではこの課題の解決に向け、造材管理を容易に行える仕組みづくりに取り組んでいます。
今回のDaichi Reportでは、造材量・造材位置を見える化するアプリ「ZOUZAIウォッチャー」を紹介します。

「日報頼り」だった造材量をリアルタイムに把握

従来は、現場のオペレーターの記録に頼るしかなかった造材量の管理ですが、「ZOUZAIウォッチャー」では、ハーベスターヘッドC93からの情報をデータとしてクラウド上に蓄積します。このデータはネット環境さえあれば、ソフトウェアのインストールなどなしにパソコン、スマートフォン、タブレットから常時アクセス可能です。現場に足を運ばずとも、状況が手にとるようにわかります。

幹一本ごとの詳細な情報を確認できる強み

「誰が」「どこで」「どのハーベスターで」「どのような丸太を」「どのぐらい造材できたか」が一覧表示※1でき、同時に地図上で表示することも可能です。また、カレンダー機能を使えば日ごとの丸太の量とともに材積量も把握※2できます。オペレーターの日報の取りまとめはもちろんのこと、集計や運材をはじめとする、後工程に展開するための事務作業の大幅な削減にもつながります。データはCSV形式でダウンロードでき、PDFファイルとして印刷もできるため、活用の幅が広がります。
 

運材手配の判断に貢献

これらの地図機能、カレンダー機能は、造材後の進捗管理にも革命的な変化をもたらします。これまではオペレーターの報告を受け、それをもとにフォワーダーなど運材の手配をしていましたが、造材量と造材位置がより詳細にわかるので、適切な車両手配が行え、造材が土場に溜まり込む状況などを防ぐことができます。
※1)造材データ:幹一本ごとの詳細なデータが一覧に
一覧では、日時/機材/オペレーター名/樹種/造材場所(造材場所の緯度・経度)/丸太の本数・グレード・末口径(上皮・皮下)・材長・材積が表示され、データのフィルタリング機能も搭載
※2)造材マップ:地図上で日ごとの丸太本数・材積量が一目瞭然
「エリア」「丸太条件」などの条件を選択すると該当地図を表示(地図は写真地図・標準地図・淡色地図の切り替え可)。右の地図上のマーカーをクリックすると、幹ごとの造材状態が確認可能。作業日ごとの色分けや、エリア全体の丸太の集計値を確認することも可能

「ZOUZAIウォッチャー」ユーザーの声

業務の大幅な効率化を実現

「いつ、どこで、どれだけの量を造材しているのか、ひと目で確認できるので便利ですね。運材手配も組みやすく、自社、運送業者の業務の効率化を実現しています」。そう話すのは、大分県佐伯市で三代以上にわたって林業を営んでいる株式会社松木林業の松木繁洋社長。