地域社会と自然環境とともに成長を遂げる新しい砕石業

Gembaディスカバリー〈砕石〉福原産業/アクセス/光陽産業 広島県東広島市 Gembaディスカバリー〈砕石〉福原産業/アクセス/光陽産業 広島県東広島市

製造の福原産業、開発のアクセス、販売の光陽産業。三位一体となった砕石業の "今"と"未来"について聞いた。

地元広島のインフラ工事に大きく貢献

 広島を拠点に砕石の製造を行う福原産業株式会社。1964年に創業し、1970年に創設。これまでに、山陽新幹線、山陽自動車道、広島新空港などのインフラ工事を中心に製品を提供してきた。20218月には「東広島市SDGs未来都市パートナー」として登録。持続可能な開発目標を達成するため、掲げられた目標を常に意識しながら、地元広島の暮らしを支える事業を展開している。砕石場の開発と製品の物流を請け負っているのが、パートナー企業の株式会社アクセスだ。表土掘削・破砕、選鉱、整地など砕石場における開発事業と、福原産業が製造した砕石の輸送を担う。そして、砕石の販売を行うのが光陽産業株式会社だ。3社が協力し、三位一体となって砕石の製造販売を行っている。

 最大の特徴は強力な輸送力を背景とした、他を圧倒する生産・出荷体制にある。アクセスが運用するダンプトラックは傭車を含めて50台以上にも上り、自慢の輸送力で「必ず納期に間に合わせる」というスタイルで事業展開している。

9割以上がコマツの建機

 福原産業の代表取締役社長藤井隆氏によると、砕石業務ではまず、クローラードリルを使って地面や壁面に穴を開け、そこに火薬を詰めて発破する。粉々になった石を油圧ショベルで集め、それをダンプトラックに載せて原石ホッパーまで運搬。原石ホッパーによって運ばれた石は、プラント内で石と泥に分別される。大きい石は細かく砕かれ、大きさごとにさらに分別し市場に出荷している。

 砕石の積み込みや輸送にはパワフルで信頼性のある建機が必要だ。およそ20年前からコマツの建機を使うようになり、現在は9割以上の建機がコマツとなっている。「乗り心地がよく、繊細で柔らかい操作が可能です。オペレーターの疲労やストレスの軽減につながり、作業効率も上がります」とおもな建機の稼働を担うアクセスの代表取締役社長であり、光陽産業の代表も務める河野美樹氏はコマツの建機の操作性によるメリットを語る。

福原産業株式会社 代表取締役 藤井隆氏

福原産業株式会社 代表取締役 藤井隆 氏

株式会社アクセス および光陽産業株式会社 代表取締役 河野美樹氏

株式会社アクセス および光陽産業株式会社
代表取締役 河野美樹 氏

工程を止めないコマツの対応力に期待

 対応力のよさもコマツの建機購入の要因だ。「建機が止まってしまうと、製造計画が台無しになります。私たちは『納期に間に合わせる』ことを優位に事業展開しているので、スピーディーに対応してくれるコマツが本当に頼もしいです」と、河野社長はコマツに信頼を寄せる。アクセスでは20216月にもコマツのダンプトラックHD605-7E1を購入した。これまでのHD405-81クラス上を購入したことになる。「砕石現場から原石ホッパーまでやや距離があります。発注が増えてきており、一回の積載量を増やしていかないと供給が間に合わない。60tクラスとなると、やはり力強さと信頼性が重要になるので、コマツの建機に決めました」と河野社長は購入理由を語る。

福原産業株式会社 生産部 課長 熊田篤氏

 現場を管理する福原産業の生産部課長熊田篤氏は「降坂車速を任意に設定できるオートマチックリタードスピードコントロールには助けられています。砕石場は坂が多く、安全を特に意識しなければなりませんが、不用意にスピードを出し過ぎることもなく、安全性の確保およびストレスの軽減に役立っています」とコマツの安全性能について語る。

ICT導入とDX化を視野に事業展開
ICT導入とDX化を視野に事業展開
ICT導入とDX化を視野に事業展開

ICT導入とDX化を視野に事業展開

 福原産業では今後、さらなる安全性の確保と業務の効率化を目的としたICT導入を視野に入れている。現場にはさまざまな危険があるため、将来的にはドローンを飛ばして3D図面を作成することで、より安全かつ正確な業務を行うことを藤井社長が見据えたものだ。

 その準備段階として、アクセスではドローンのオペレーター育成を目的に、国土交通省公認講習団体「JUAVAC」認定の「ドローンエキスパートアカデミー広島校」を開設した。ドローン測量を行うための環境はほぼ整っており、実施まで秒読み段階に入っている。

 また、プラント内の各種設備や事業計画の作成には、DXツールなどを活用してイノベーションを進めていく考えだ。コマツが開発した機械の稼働状況を管理するシステムKomtraxのデータ、そしてプラントの生産能力を数値化したものを照らし合わせることで、精度の高い生産管理を実現し、作業環境のDX化を目指している。

PC1250-11R
PC1250-11R
KomVision(機械周囲カメラシステム)
KomVision(機械周囲カメラシステム)

誰もが快適に働ける作業環境

 近年は、働いている人の作業環境をより快適なものにし、従業員の満足度を高めることに注力している。「これまで、この業界は3Kといわれてきましたが、それでは今後生き残っていくことはできません。まず私たちが意識を変えて、業務環境を変革していく必要があります」と藤井社長は環境改善について語る。

地域や自然とともにある企業へ

 自然を相手にしている企業として環境に対する意識も高い。現在、生産工程においてCO₂の排出量をゼロにする取り組みを進めており、採掘が済んだエリアには植林を行うなど、緑化事業にも積極的だ。「コマツのハイブリッド油圧ショベルHB205-1は燃費がとてもよく、コスト削減はもちろんですが、それ以上に自然環境の維持に大きく貢献しています」と河野社長はコマツの環境性能について語る。

 ほかにも、地域に根ざす企業として、近隣の小学校付近への安全看板の設置やイベントへの参加、地域清掃など、地域の誰もが快適に過ごせるよう最大限の努力をしている。

 地域社会、そして自然環境と共生するこれからの砕石業の形がここにある。

地域や自然とともにある企業へ
福原産業株式会社 経理・総務部 統括本部長 濱田千明氏
福原産業株式会社 経理・総務部 統括本部長 濱田千明 氏