北海道トップクラスのICT導入企業が切り拓く新たな土木事

常に時代の流れを敏感に感じ、最先端を走り続ける、株式会社道栄重機。

ICT×建機が実現する、これからの事業のスタイルとは。

 北海道帯広市で主に土木事業を展開している株式会社道栄重機。創業は1981年、創設は1989年、創業者は取締役会長の平尾德實氏だ。
平尾会長の「新しいことにどんどんチャレンジしよう!」という経営スタンスのもと、常に時代の最先端のことに取り組んできた。

 代表取締役社長の鎌田政己氏はそんな平尾会長の意志を継承し、企業をさらに大きく成長させている。

 道栄重機の最大の特徴は、帯広では他社の追随を許さないICT建機の積極的な導入にある。
レンタルでの導入を経て、2017年にコマツのPC200i-11を購入したのをはじめとし、現在はPC200i-11を3台、D65PXi-18を1台保有。ICT建機を最大限に活用し効率的な業務を行っている。

(写真:株式会社道栄重機 取締役会長 平尾德實氏)

ICT建機による工事の仕上がりを見て納得

 ICT建機の導入に際して、当初は「本当に使いこなせるのか」と不安だった鎌田社長だが、実際の整地工事でのきれいな仕上がりを見て、「これは会社をあげて導入するべきだ」と確信した。

 鎌田社長は「従来は、オペレーターが自身の経験と技術を駆使して作業を進めていたのが、ICTであれば設定ひとつで簡単に作業することができるようになった」とそのメリットを語る。
また、平尾会長は「この業界は人手不足。オペレーターの高齢化が進み、若い人がなかなか入ってこない。ICTなら経験を問わず、高精度な作業ができるので、人材確保の面でも価値がある」とICTに期待を寄せる。

(写真:株式会社道栄重機 代表取締役社長 鎌田政己氏)

人件費と作業日数を大幅に削減

 ICTによってどれほど効率化が進んだのか、従来の作業との比較でその差を見てみよう。

 従来の法面整形であれば、事前調査測量に2名、丁張設置に2名、オペレーター1名、そしてその他手元作業員が2名おり、およそ7名前後で作業するのが通常であった。

 ICTを活用すると、図面データにより作成された3次元データとローカライゼーションされた基準点データを建機に落とし込むことにより、丁張設置を行う必要がなく、オペレーター1名が現地で業務を行えば完結するのだ。人件費と作業日数の大幅な削減を実現するとともに、業務負担を伴わない高精度な施工が可能となる。

 オペレーターの香田清貴氏は「法面の高さや勾配をセットすれば、あとは機械の方でデータ通りに作業してくれます。これまでは作業する時、建機から降りて現場を自分の目で確認していましたが、乗り降りの手間がなくなります。作業も快適にスピーディーに行うことができ、大幅な業務効率の向上を実現しました」とICTの有効性を語る。

 また、道栄重機ではすべての建機がICTではないため、ICT建機で約20mおきに目安となる作業を先に行い、それを基準に従来機が残りの作業をするといった施工上の工夫をすることで、ICT建機も従来機もしっかりと活かしている。ICTに慣れていない年配のオペレーターも1度使うと、「もうICT建機しか考えられない」とその有効性を実感している。


オペレーター 香田清貴氏

一番のメリットは安全性の確保

 ICTの活用がもたらすのは効率性だけではない。道栄重機がもっともメリットに感じているのは安全性だ。これまでは手元作業員が建機の周りにいたため、オペレーターは常に周囲を確認しながら、慎重に作業する必要があった。ところが、ICTであればオペレーター1人での作業となるため、周囲の作業者のことを気にせず快適にスピーディーに業務が行える。「安全性が担保されたおかげで、ストレスを感じることなく業務スピードを高めることができる。生産性も格段に向上します」と平尾会長は安全性と効率性の相乗効果を語る。

社長自らが率先してICT建機を操作

 現在、ICTを使った業務は社内にすっかり定着しているが、その背景には鎌田社長の尽力がある。「最初はコマツレンタル道東からレンタル機を借りて使っていましたが、それではいつまでたっても当社の技術として身につかないと考え、購入して使いこなすことにしました。まずは、私が率先してPC 200i-11に乗って操作に慣れることにしました」と鎌田社長は当時を振り返る。そして導入期の不安を解消したのがコマツのサポートだったという。「とにかく、分からないことはなんでも聞きました。サポートセンターの方は『まず、このボタンを押して、その次にこの操作をします……』と、とても具体的かつ的確に指示をくれるので、本当に助かりました。このサポートがなければ、これほどのスピードでICTが社内に浸透することはなかったと思います」。現在では、鎌田社長がサポート役となって、現場のオペレーターの質問に答え、スムーズな業務とICTの浸透を支えている。

ICTを活用したトータルサポート企業を目指す

 道栄重機では今後さらにICT建機を拡充していく考えだ。市場のニーズを見ながら必要に応じてレンタルで対応し、使用頻度が高まるようであれば購入に切り替える。そして、ICT建機を操作できるオペレーターも増やしていく方針だ。近い将来、多くの企業が当たり前のようにICT建機を活用する時代が来る。これまでのように、「ICT建機を保有していること」や「ICTを使えるオペレーターがいること」だけでは差別化にはならなくなる。道栄重機では、ICT導入のリーディングカンパニーとしての優位性を活かし、工事だけでなく、自社で起工測量やデータ作成、そして出来形管理まで含めたトータルソリューションとしてICTを核としたサービス提供を視野に入れている。ICTを「ツール」として位置づけて活用し、さらなる発展を遂げようと進化を続ける、道栄重機の今後の展開に注目したい。