青森県の最高峰岩木山を望み、津軽地方の中心から南部にかけて位置する弘前市、藤崎町、大鰐町、平川市、西目屋村で生産される農産物を取り扱うJAつがる弘前。代表的な農産物であるりんごの年間取り扱い量は6万tと、青森県内でもトップとなっている。
今回取材に伺った弘前市の「河東地区りんご施設」は、3万4,500㎡の広大な敷地に選果場と冷蔵庫が一体化されている、県内最大のりんご選果施設だ。この巨大な施設の中で、生産者から持ち込まれたりんごの移動や、選果され製品化されたりんごの出荷などに用いられているのがフォークリフトだ。
JAつがる弘前がメインで使っているフォークリフトはコマツのFE25-2だ。導入するきっかけは、業務内容と密接に関係している。JAつがる弘前では、生産者からの持ち込みを8時から18時まで受け付けている。1時間の休憩時間を差し引くと、9時間受付業務を行っており、フォークリフトは残業等も考えると1日当たり9時間以上の稼働が求められる。「通常、フォークリフトは7時間程度で充電が切れてしまい、そこから充電してもその日の作業には使えません。1日中稼働するためには、どうしても2台のフォークリフトが必要でした。ところが、コマツのFEシリーズだと1時間で最大80%までバッテリー容量を回復する急速補充電システムがあり、休憩時間の1時間で充電すれば、それで丸1日余裕で使うことができます。2台揃える必要はありません」と部長の齋藤誠氏は導入の理由を語る。
最初の導入は2016年9月、FE25-1のレンタルだった。その後、5年のレンタル期間を経て「これは使える!」となり、2021年9月にFEシリーズの最新機種であるFE25-2を購入。通常、機械の購入に関しては入札が行われるが、コマツ機のみが持つ急速補充電システムへの評価から、特命による発注となった。
FE25-2は現場でさまざまなメリットを生み出している。購入のきっかけとなった急速補充電は時間短縮だけでなく、業務の簡略化も実現している。「他社機では、バッテリー液を補水する煩わしさがありました。ところが、FEシリーズではその必要がありません。また充電時もバッテリーフードを開ける必要が無く、充電プラグを差し込んでスイッチを押すだけの簡単な作業で充電が完了します」とりんご係の福原友樹氏は語る。
旧型機であるFE25-1からFEシリーズを操作しているオペレーターの太田亮氏は、最新機種のFE25-2は機能性がさらに向上し業務の効率化に寄与していると話す。「後輪の径が大きくなったおかげで、段差のあるところもスムーズに走れます。また、乗降ステップが低くなったので、乗り降りが楽になって業務負担が大きく減りました。加速も力強くなりましたね。出だしの加速パワーが全然違います」。さらに、機能性の向上が安全面にもつながっているという。「LEDライトが明るくなったのには助けられています。冷蔵庫でパレットを積み上げるときは、6,000㎜先を見ることになります。冷蔵庫では十分な明るさがとれない箇所もありますので、約800㎏にもなるパレットの積み上げは危険を伴う作業です。冷蔵庫内を明るく照らせることで、安全に正確な作業ができるとともに、精神的なストレスが大きく軽減しました」。
現在、JAつがる弘前では、次世代の担い手を育成するための農業後継者研修を行っている。また、10年後20年後を見据え、小学生向けの食育にも取り組み、農産物を扱う事業者として、フードロス問題の解決にも積極的だ。「私たちJAは、地域社会や自然環境と共存しています。SDGsが掲げる持続可能な社会の実現は、そのまま私たちの考えにつながります。コマツの製品を導入したことは、機械の台数削減やバッテリー車による環境への負荷削減など、その考えにも通じています」と係長の滝本豪樹氏は語る。
弘前市はりんごを中心に経済が回っている。JAつがる弘前は、りんごが幸せをつくる街で、地域の方、農家の方の幸せづくりをサポートしている。