消耗品の購入は経費にできる?~法人税通達での考え方~

掲載日:2025年7月9日

【セミナでのご質問】

私は会社で経理を担当しています。
先日セミナーで、「消耗品でも、経費として処理できるものとできないものがある」とお聞きしました。
当社では、決算前によく消耗品の購入を検討するため、非常に興味があります。
どのような場合に経費になるのか、もう少し詳しく教えていただけないでしょうか?

【キド先生からの回答】

ご質問のポイントは、「消耗品をいつ経費(損金)にできるか?」という点ですね。
この点については、「法人税基本通達2-2-15」でルールが決められています。以下のように整理できます。

【① 原則:使ったときに経費にする】

基本的には、買ったタイミングではなく、実際に使ったタイミングで経費にします。
たとえば、文房具を買ったけれど期末まで使っていなければ、まだ経費にはできません。

【② 例外:買ったときに経費にしてよい場合】

次のような条件を満たしていれば、買った時点で経費にしても問題ありません。

  • 買ったのが、「文房具」「作業用の手袋やウエス」「包装材料」「チラシ・パンフレット」「見本品」など。
  • それらを、毎年ある程度の量を買っていて、普段から使っている(継続的に消費している)。
  • そして、その処理方法を毎年変えずに続けている(継続処理)。

この条件を満たせば、いちいち「使ったかどうか」を確認しなくても、「買った日の属する事業年度」の経費としてよい、という扱いです。

【③ 経費にできないケース】

    ただし、買ったものが「製品の製造原価を構成するもの(材料費など)」である場合は、製造原価として処理しなければなりません。 この場合は、経費ではなく「在庫」として扱われることがありますので注意が必要です。
【キド先生のコメント】
なお、このルールは「通達」といって、法律ではなく国税庁などが出している行政上の決まりです。
つまり、「絶対的なルール」ではありませんが、この通りに処理しておけば、税務調査で問題になることはほとんどありません。
ただし、実際の処理方法は会社の状況によって異なる場合がありますので、詳しくは顧問税理士に確認しながら進めることをおすすめします。