「新品要件」の税務上の取り扱い

掲載日:2025年6月26日

【セミナでのご質問】

私は機械の販売会社で営業をしています。
このたび、A社から、保証期間中に返品された機械を、メーカーの工場でエンジンを丸ごと交換するなど、徹底的な改修を行い、「新品」としてB社に販売する予定です。このような機械をB社が購入した場合、「新品」として即時償却の対象になるのでしょうか?

【キド先生からの回答】

ご質問のポイントは、「返品された機械を大幅改修して販売する場合、それが税務上“新品”として扱えるかどうか」、つまりB社が即時償却の特例を使えるかどうか、ということですね。

1.税法上のルール

即時償却の特例は、租税特別措置法第42条の12の4に規定されています。その中で、「その製作若しくは建設の後、事業の用に供されたことのないものを取得し…」との文言があり、「新品」であることが要件とされています。

ただし、「新品」に該当するかどうかについての明確な基準は法令上には詳しく定められておらず、個別の取扱いについては実務上の解釈に委ねられているのが実情です。

2.最終的な判断は「事実認定」

とはいえ、最終的には、税務署がその機械の状態や改修の実態を見て判断することになります。これを「事実認定」といいます。

以下のような状況であれば、「新品」として認められる可能性があります。

  • エンジンや駆動系などの主要構成部品をすべて交換している
  • 製造番号や型番が新たに付与されている
  • 外観・性能が出荷時と同等またはそれ以上になっている
  • 改修がメーカー工場など専門機関で行われている
【キド先生のコメント】
一部修理にとどまる場合や製造番号が変わっていない場合には「修理品」扱いとなり、税務上「新品」とは認められません。このため、即時償却の適用はできないことになります。
また、税務上の「事実認定」では、「機械がまるで新しく生まれ変わったかのような状態」と評価できるかどうかが、重要なポイントとなります。
したがって、判断に迷うようなケースや、不安が残る場合には、B社では即時償却ではなく、通常の減価償却で対応することをおすすめします。
なお、長期的な視点で見れば、即時償却と通常の償却のいずれを選んでも、最終的な節税効果には大きな違いはありません。