即時償却における「経営力向上計画」の認定手続きの期限について

掲載日:2025年6月12日

【セミナでのご質問】

私は中小企業を経営しており、当社の決算期は9月30日です。即時償却の適用を受けるため、6月に機械を購入し、すでに事業に使用しています。しかし、うっかりして「経営力向上計画」の認定申請を行っておらず、顧問税理士から「このままでは即時償却の適用はできない」と指摘を受けました。
あわてて計画を作成しましたが、「機械の取得から60日以内に認定を受ける必要がある」と聞き、すでに8月になっている現在、間に合わないのではないかと不安です。何か対応策はないでしょうか。

【キド先生からの回答】

中小企業経営強化税制における即時償却の適用を受けるには、原則として「経営力向上計画の認定を受けた後に設備を取得すること」が要件となっています。
しかし、例外的に「設備取得後に計画を申請すること」も認められており、その場合には、次の条件を満たす必要があります。

■ポイントは「認定」ではなく「受理」
要件として重要なのは、「取得してから60日以内に経営力向上計画が受理されていること」です。ここで言う「受理」とは、計画が国等に提出され、正式に受け付けられた日を指します。
よって、60日以内に書類を提出し、受理されていれば、即時償却の適用対象となる可能性があります。

■今後の対応について
もし60日以内の期限にまだ間に合う可能性がある場合には、次の対応を早急に行ってください。

  1. 経営力向上計画を早急に作成し、国等に提出
  2. 決算日までに以下の書類と確認事項をそろえる
  3. - 工業会による設備の「証明書」
    - 国等からの「認定書」
    - 対象設備が実際に稼働していることの確認
これらをそろえたうえで、税務申告時に即時償却の手続きを行ってください。

 

【キド先生のコメント】
なお、仮に即時償却の要件を満たせなかった場合でも、「中小企業投資促進税制」の適用をご検討ください。この制度では、通常の減価償却とは別に、30%の特別償却が認められます。
詳細は顧問税理士と十分に相談のうえ、最適な対応を進めてください。