相続税対策ブラックジョーク集

掲載日:2025年5月23日

【セミナでのご質問】

私は中小企業の経営者です。
そろそろ相続のことも真剣に考えなければならない年齢になってきました。
最近先生のセミナーに参加した際に「相続税対策ブラックジョーク集」というテーマが紹介され、思わず笑ってしまったのですが、妙に印象に残っています。
参考までに、いくつかご紹介いただけますか?

【キド先生からの回答】

相続税対策 ブラックジョーク集(※制度上の要件付き)

「相続税対策ブラックジョーク集」は、私の事務所でかつて作成したものです。ブラックユーモアを交えつつも、相続税の仕組みや節税の考え方を分かりやすく伝える目的で作ったものですが、あまり公に出せる内容ではないため書籍化は見送りました。

ただし、ご希望とのことですので、いくつか抜粋してご紹介いたします。

ジョーク①「生きているうちに墓を建てよ。死んでからじゃ遅い。」

→ 墓地・墓石・仏壇などは相続税の非課税財産に該当します(相続税法第12条)。

生前に購入しておくことで、財産の圧縮が可能です。ただし、装飾品的に高額すぎるものや宗教用具でないと判断されるものは否認リスクもありますので注意してください。


ジョーク②「子どもは“資産”だ。多ければ多いほど控除が増える。」

→ 相続税の基礎控除額は、3,000万円 + 法定相続人の数 × 600万円で計算されます。

つまり、相続人が多ければ多いほど、相続税がかからない範囲が広がるのです。

ただし、相続人として認められるには法的な要件があり、養子縁組による調整なども可能ですが、こちらも人数制限があります(養子は原則1人まで、実子がいなければ2人まで)。


ジョーク③「保険は愛情だけじゃない。節税にもなる。」

→ 被相続人が亡くなった際に支払われる死亡保険金は、法定相続人の数 × 500万円まで非課税です(相続税法第12条)。

相続税対策として保険契約を活用することは王道の一つです。ただし、保険金受取人の指定や契約内容により、相続税ではなく所得税や贈与税の課税対象になる場合もありますので、専門家のチェックが不可欠です。


ジョーク④「社長、退職金は生きてるうちに出してもらうか、死んでからか。」

→ 会社役員などが死亡した際、会社から遺族に支払われる死亡退職金も、法定相続人の数 × 500万円まで非課税です。

これは死亡保険金と同様に扱われ、企業オーナーが自社から相続人へ資産を移転する一手段として有効です。

ただし、適正な金額や支給根拠、税務署への説明責任を果たす必要があります。遺族に一方的に多額の退職金を出すと、否認リスクもあります。

【キド先生のコメント】
これらのジョークはあくまで「笑い話を通して節税の本質に気づいていただく」ためのものであり、実際に適用するには法律上の要件や実務上の注意点があります。
また、節税策の中には、時代によって税務当局の取り扱いが厳しくなるものや、過度に行えば租税回避行為とみなされるものも存在します。
したがって、相続対策を行う際には、顧問税理士に十分なアドバイスを受けながら、正しく進めることが大切です。