「即時償却制度」と「税額控除制度」との選択適用

掲載日:2025年1月24日

【セミナでのご質問】

私は中小企業の経営者です。
今期に機械を2台購入する予定です。
当社の経理担当者より、「経営事項審査制度の申請上、あまり利益を減らしたくないので、1台は中小企業経営強化税制の即時償却制度を使い、もう1台は税額控除制度を使いたい」という要望がありました。 私としては税務調査で否認されることが心配です。
中小企業経営強化税制の即時償却制度又は税額控除制度の選択適用を機械ごとに行うことは可能なのでしょうか。
早急に判断しなければいけないのでご教授ください。

【キド先生からの回答】

結論から申し上げますと、中小企業経営強化税制においては、「即時償却制度」と「税額控除制度」との2つの制度の選択適用が認められています。そして、この選択適用にあたっては、その取得する機械ごとに適用できることとなっております。
したがって、A機械は即時償却制度、B機械は税額控除制度の適用を行うことが可能となりますので、御社の会計処理は問題なく行っていただければ、税務調査で否認されることはありません。
ただしご質問の趣旨から考察しますと、購入予定の機械2台とも即時償却制度を適用することも検討できるのではないでしょうか。
御社の経理担当者は利益が少なくなることを心配されているようですが、一台の機械は例えば当期に10%だけ償却を行い、残りの90%を償却不足額として翌期に繰り越すことも可能となります。
再度、慎重に会計処理を検討することをお勧めいたします。
【キド先生のコメント】
優遇税制の適用は取得する機械ごとに行うことが可能ですので、今回のように、即時償却制度と税額控除制度を機械ごとに別々に適用することもできます。
ただし、即時償却制度は初年度に償却せずに、その初年度の償却不足分を翌期に繰り越すことも可能です。会計処理にあたっては顧問税理士とよく相談しながら進めてください。