即時償却をした翌期に転売した場合の取り扱い

掲載日:2024年10月25日

【セミナでのご質問】

私はコマツの社員です。
お客様から「前期に中小企業経営強化税制の即時償却を行った機械を翌期に売却したいので査定してほしい」という依頼がありました。このようなことが認められるかどうかを教えてください。

【キド先生からの回答】

結論から申し上げますと、あなたはユーザの要望通りにその機械の査定を行えば良いと思います。
もしここで問題になるとすれば、あなたの行為がユーザの「租税回避行為」に協力したことと判断される場合です。
あなたは、単にユーザより所有する機械の売却価格の査定を依頼されただけですので、この場合、あなたの対応は何ら法的に問題ありません。
例えば、ユーザから売却価額が高いので、その価額の調整を依頼され、その分を新車値引きに調整するような行為を行えば、問題になる可能性があります。コマツとしてコマツクイック(中古機械仕入・販売会社)により適正な査定を行う限り特に問題はないと思います。

■ユーザ側の留意点
ユーザが前期において、中小企業経営強化税制の即時償却を行ったのであれば、中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」を策定し、国等(建設業の場合は地方整備局)に認定してもらっているはずですが、その計画では、ユーザが使用して経営力を向上させることになっているはずです。
ユーザにとっては何らかの経済的合理性があって売却するのでなければ問題だと思います。


【キド先生のコメント】
ユーザが前期に即時償却を行ったのであれば、その機械の帳簿価額は備忘価額の1円になっているはずです。
もしその機械を翌期に売却すれば、売却額-1円が売却利益となり、売却額のほとんどが税負担の対象となります。そのことを考えると、ユーザにあまりメリットはないように思いますが、あなたは言われたとおり、査定をしていれば問題ありません。