所有権が留保されている機械の減価償却(即時償却)の取り扱い

掲載日:2024年9月30日

【セミナでのご質問】

私はコマツの社員です。あるお客様(A社)から問い合わせがありました。
私はA社に、割賦契約により機械を販売しており、契約書上、割賦代金を完済するまでは所有権をA社に移転しないことになっています。
そこでA社より、所有権のない機械については減価償却することができないのではないかと言われました。本当なのでしょうか?

【キド先生からの回答】

確かに、減価償却のできる資産は、原則として、自己で所有していることが前提です。その意味からA社はそのように主張しているのだと推測いたします。
しかし、ご質問のように、その所有権の留保が単に「債権確保」のためのものである場合は、A社がこの機械を資産に計上し、事業の用に供している際には減価償却をすることが認められています。
また、この場合でも、他の要件が満たされれば、中小企業経営強化税制の即時償却もできるはずです。
その機械の割賦代金の中に、割賦期間分の利息及び売主側の代金回収のための費用等に相当する金額が含まれており、これらの金額が明らかに機械代金と区別されていない場合には、その機械の取得価額に算入することとなっています。
【キド先生のコメント】
コマツでは、機械の販売においては、税法上の引き渡し基準の中の納車基準を採用しており、長い間この基準で継続的に会計処理を行っております。
売買契約書において、代金完済までの所有権留保を行っているのは、売上計上と関係なく、機械代金回収上の債権確保のための所有権留保です。
したがって、ユーザが納車時点で機械装置に計上しているのであれば、減価償却(場合によっては即時償却)をすることが可能と判断しております。