設備更新に伴う機械の税務上の取り扱い

掲載日:2024年8月26日

【セミナでのご質問】

私はコマツの営業担当員です。
先日、お客様から設備更新の話を頂きました。
内容としては、お客様への新車販売2,000万円、旧機械の下取り額600万円で、
お客様の追い金は1,400万円(2000万円-600万円)です。
商談は順調に進んでいたのですが、先方の顧問税理士より、「下取りの機械は購入時に「即時償却」を行っており、
帳簿価額が1円であるため、下取り額がそっくり下取り益となって税負担が重くなる。」と異論がでました。
先方の社長より何とかならないかと持ち掛けられて、対応に困っています。
先方の顧問税理士の主張は本当なのでしょうか?また何とかならないのでしょうか?

【キド先生からの回答】

結論から申し上げますと、お客様の顧問税理士の主張は正しいと思います。
今回の条件における下取り益の計算は、次のようになります。

下取り価額600万円-帳簿価額1円(即時償却後の帳簿価額)
≒下取り益600万円

つまり、法人税法上の下取り益は約600万円であり、消費税法上の課税売上も600万円で計上されるため、
このままでいくと確かにお客様の税負担は多くなると思います。
これに対するコマツ側の提案としては次のようなことが挙げられます。
『新車2,000万円を即時償却すれば、法人税上2,000万円の損金となり、下取り益を十分にカバーできます。
また、新車購入2,000万円は消費税法上も課税仕入れとなり、下取り額600万円を十分にカバーできます。
ですから今回の商談でお客様に税負担が生じるリスクはないと言えるではないでしょうか。』
【キド先生のコメント】
中小企業経営強化税制の「即時償却制度」は、令和7年3月31日まで適用できます。
それ以後延長されるかどうかについては令和7年税制改正で決定します。税制改正の内容が明らかになり次第ご報告致します。