即時償却した機械の更新時の下取り益について

掲載日:2024年6月12日

【セミナでのお客様からのご質問】

私は資本金2,000万円の建設会社の経営者です。いつもコマツさんから設備を購入して、即時償却制度という優遇税制を活用しております。
先日、経理担当者から「即時償却を行っていると、設備更新の時に税金が高くなるから損ですよ。」と指摘されました。
本当でしょうか?今まで私の会社は損をしていたのでしょうか?

【キド先生からの回答】

結論から申し上げますと、御社の経理担当者の指摘については少し誤解があるように思います。
即時償却ができる「中小企業経営強化税制」は、次のような優遇税制です。
  1. 購入した機械は、その耐用年数の期間中に「減価償却」という制度で毎事業年度に費用化していきます。
  2. 即時償却という制度は、買って事業に使った事業年度に、将来費用化できる減価償却費をまとめて一度に費用化する事が認められている制度です。
  3. だから即時償却を行った機械の帳簿価額は備忘価額の1円となるのです。
  4. 設備更新の際に、既存の機械を下取りに出すと、下取り額から1円を差し引いたものが下取り益となります。御社の経理担当者の方はこのことを誤解して「損する」とおっしゃっているのではないでしょうか?
  5. 即時償却は将来できる減価償却費を先食いしたために帳簿価額は備忘価額1円となるので、損したわけではないのです。
【キド先生のコメント】
中小企業経営強化税制が続く限り、設備更新時に、新しく購入した機械について即時償却を行えば、旧機械の下取り益を超える金額の減価償却費が計上できると思います。
詳しくは、顧問税理士にご相談ください。