社員に決算賞与を支給する場合の税務上の取り扱い

掲載日:2024年5月10日

【セミナでのお客様からのご質問】

私は会社(3月決算)の経理を担当している社員です。
当期は業績が好転し、かなりの利益が見込まれます。
社長より社員に「決算賞与」を出したいと言われましたが、決算までには多額の売上が計上されますが、入金は翌期の4月になる見通しで、3月末までには資金手当ての目途が付きません。
そこで、「決算賞与」を3月決算では「未払いで計上」し、翌期の4月に支払いたいのですが、税務上、何か問題はないでしょうか?

【キド先生からの回答】

結論から言いますと、税務上認められる場合があります。
  1. 「決算賞与」の原則的な税務上の取り扱い
  2. 法人税では、使用人に対して支給する賞与は、原則として、その支給をした日の属する事業年度の損金になるとされています。したがって、決算賞与を今期の損金にしようとすると、今期中に支給額を決定して、支給をしなければならないということになります。
  3. 「決算賞与」の例外的な取り扱い
  4. 次の要件を満たせば税務上認められます。
    a.支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること。→3月中に通知する。
    b.通知をした金額を、その通知をしたすべての使用人に対し、その通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払っていること。→4月中に支払う。
    c.その支給額につき、1.の通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。→3月決算で未払い計上する。
【キド先生のコメント】
未払い計上した場合には、たとえその社員がその後退職しても賞与を支給しなければなりませんので、ご注意ください。
詳しくは顧問の税理士にご相談ください。