資本的支出と修繕費との判断基準

掲載日:2023年09月11日

【セミナでのお客様からのご質問】

私は建設業の経理担当者です。
当社の本社ビルは建築してから10年以上経っており、外壁にいくつかの裂け目が生じております。
そこで社長より、外壁塗装を行うように指示されたのですが、この外壁塗装の費用は全額修繕費としてもよろしいのでしょうか。

【城所講師からの回答】

ご質問の外壁塗装の費用が、資本的支出(建物の帳簿価額に加算)となるか、修繕費(損金算入)となるかについては、税務上、しっかりと区別する必要があります。
まず、
  1. 全体の支出額が20万円未満の場合には、全額修繕費として処理することが可能です。
  2. その支出が明らかに価値の増加又は耐用年数の延長につながる場合には資本的支出となります。
今回のように、築10年を経ている建物の外壁塗装で、それが明らかに資本的支出か修繕費か明確でない場合は、その建物の前期末取得価額(帳簿価額ではなく、減価償却前の価額)の10%であれば、修繕費にしてよいという規定もあります。
【城所先生のコメント】
例えば、10年前に2億円で建築した本社事務所であれば、2,000万円(2億円×10%)以内の外壁塗装の場合、修繕費にしてよいということになります。外壁塗装が、明らかに以前のものよりも立派なもので価値が増加するようなものであれば、この規定は適応できませんので、ご注意ください。
詳しくは、顧問税理士にご確認ください。