減価償却費の計上漏れの取り扱い

【セミナでのお客様からのご質問】

私は中小企業の経理担当者です。

前期に誤って、減価償却費の計上を失念しておりました。社長には報告したのですが、税務署にも何らかの届け出が必要なのでしょうか。また、当期に前期分の減価償却費を上乗せして償却することは可能でしょうか。

【城所講師からの回答】

前期に減価償却費を計上することを失念したとしても、別に税務署からは咎められません。しかしながら、当期の減価償却費の金額に上乗せして計上することはできません。

 

■指定事業の注意事項
  1. 減価償却費の計上は任意です
    • 減価償却費は、その償却限度額まで会社の任意で計上することが認められております。もちろんこれは、税務上の取り扱いですが、会計上は適正な減価償却費を計上するべきだと思います。
  2. 当期の減価償却費は当期の償却限度額によります
    • 前期の減価償却費の計上失念を考慮することなしに、当期は当期で償却限度額を計算し、その範囲内で減価償却費を計上することになります。
【城所先生のコメント】

税務当局が償却限度額の範囲内で計上することを認めているのは、もちろんその分だけ費用が少なくなり、税金を余分に払う形になるからです。

あくまでも、御社の社長に対しては、減価償却費の失念をお詫びし、二度とこのような事態が起こらないように細心の注意を払う必要があります。詳しいことは、顧問税理士にご相談ください。