コマツの技術と対応力が持続可能な循環型事業モデルを支える

住宅用構造材供給国内トップシェアを誇る中国木材株式会社。循環型事業で環境保護と地域発展を実現する。

住宅用構造材の供給トップシェア

中国木材株式会社は、「森林資源を余すことなく活かした木材製品の安定供給」をテーマに掲げ、創業70周年を迎えた木材加工のリーディングカンパニーだ。同社は戦前、広島県呉市で酒樽の製造を家業として営んでいたが、1953年に木材チップ製造へと事業を転換し、1955年に法人化して会社を設立。以降、製材を中心に、乾燥材や集成材の製造、プレカット加工等に加え、木質バイオマスエネルギー事業を含めた総合的な住宅用構造材メーカーとして発展を続けている。
現在、米国から輸入する米松丸太の製材拠点は、広島県呉市の本社工場と、茨城県神栖市の鹿島事業所の2カ所。また、国産材の取り組みも強化しており、6つの製材拠点を通じて国産材の活用を推進している。さらに同社は、木材産業の循環型経済を目指し、国内に約11,000haの自社林を管理するとともに、植林用の杉苗の生産も行っている。

持続可能な循環型事業モデルを推進

「当社では、米松や国産材を原木から、乾燥材や集成材などの木造建築用材を製造する一方、製造過程で発生する木の皮や端材などを製紙用チップや木質バイオマス燃料として活用しています。1本の丸太を余すことなく、すべて無駄なく使いきることが、当社の特徴です」と、代表取締役社長の堀川保彦氏は語る。
2005年にスタートしたバイオマス発電事業は拡大を続け、現在では全国9基の発電施設で約22万世帯分の電力を供給。自社の必要電力を超える発電規模を達成している。再生可能エネルギーの活用に加え、植林や間伐を通じた森林育成を推進することで、製材業を軸とした持続可能な循環型事業モデルを構築している。
(写真:中国木材株式会社 代表取締役 社長 堀川保彦 氏

ホイールローダーが積み降ろしをサポート

日本最大の生産能力を誇る本社工場は、輸送された木材の製材や加工を行う一大拠点である。「4万tもの原木を積載した超大型船が本社工場に建設した専用バースに着岸し、その原木を5日間で積み降ろします。決められた期間内に作業を終えなければならず、安全かつ効率的な作業が求められます」と、取締役本部長の石橋正浩氏は港湾業務について説明する。
荷役作業には、海外製の大型ホイールローダーに加え、コマツのWA600とWA500が活躍している。全長約12mの原木がクレーンで船から降ろされると、大型ホイールローダーが所定の場所へ運搬。WA600とWA500はその12m原木15本(15m³)ほどをつかみやすい形状に揃えたり、大型ホイールローダーがつかみきれなかった原木を運搬したりすることで、業務の効率化に寄与している。
(中国木材株式会社 取締役 本部長 石橋正浩 氏)

耐久性と操作性に優れたWA600

「原木の荷役作業はホイールローダーにとって非常にハードです。急発進や急停止を繰り返し、数百メートルの距離を何度も行き来するため、相当な耐久性が求められます。以前使用していた機械はシリンダー系のトラブルで油漏れが頻繁に発生し、そのたびに作業が中断していました。耐久性がなければ現場では使いものになりません。その点、コマツのWA600およびWA500は非常に頑丈で、多少ハードに使っても安心して稼働できます。現場では大変助かっています」と、製材部課長の今川充邦氏は語る。
 製材部管材課班長の山根朋子氏もWA600の性能を高く評価する。「WA600は非常に器用に業務をこなします。例えば、何本も積まれた原木の中から1本だけを引き抜くといった非常に細かい作業も可能です。また、WA600ならバースの路面にある凹凸をほとんど感じることなくスムーズに走行できます。これにより、身体への負担も大幅に軽減されます。特に長時間にわたる作業では、この快適性がとてもありがたいですね」。
 また、コマツの迅速な対応力も高く評価している。「機械は当然故障します。重要なのは、そのリカバリーを迅速に行えるかどうかです。故障の際には、すぐにコマツの担当者が現場へ駆けつけ、部品を手配するなどスピーディーに対応してくれます。その対応力のおかげで、現場はほとんど止まることはありません。効率的な業務を進めるに当たって、コマツはなくてはならない存在です」と、石橋本部長は語る。
中国木材株式会社
製材部 課長
今川充邦 氏
中国木材株式会社
製材部 管材課 班長
山根朋子 氏

作業に特化した特別仕様車を導入

同じく呉市に位置する郷原工場では、バイオマス発電を行っている。同施設では、バイオマス燃料をホッパーに投入する作業でWA470-10を使用。以前使用していたWA470-5に対する同社の要望を反映した特別仕様車だ。バケットは通常の2倍の容量があり、上部はバケットの向こう側がよく見えるように網目仕様。さらにロングアーム仕様を採用し、ホッパーに効率的かつ均等に燃料を投入できる。これらの特別仕様により、燃料投入の効率化を実現。作業全体の効率と生産性の向上に寄与している。
「コマツは私たちのニーズをしっかりと聞き入れ、それに応じた製品を開発してくれます。納品が済んだら終わりではなく、納品後も改良が進むのは大きな魅力です。また、細やかなサポート体制やメンテナンスの対応力も含め、パートナーとして非常に信頼しています」と、石橋本部長は話す。
バイオマス燃料を運搬するWA470-10
工場内の製材の移動にはコマツのフォークリフトが活用されている

人と環境のことを一歩進んで考える

同社は地元雇用の促進や地域経済の活性化に加え、伝統行事や地域イベントへの協賛を通じて地域社会とのつながりを深め、持続可能な発展に貢献している。また、従業員が安全かつ健康に働ける環境づくりにも注力。「施設の機械化を更に推進し、安全教育を徹底することで、効率的かつ快適な職場環境を整えています」と、石橋本部長は語る。
「当社独自の循環型事業を更に拡大し、木材や森林の価値を高めることで、業界全体の発展に寄与していきたいと考えています。また、リーディングカンパニーとして、木造建築用材の安定供給を可能にする製造体制を進化させ続けることが私たちの責務です」と、堀川社長は語る。
中国木材株式会社は、地域社会や地球環境との調和を目指す持続可能な循環型事業を推進している。「人と環境のことを一歩進んで考える」というスローガンのもと、社会に新たな価値を生み出し続ける企業として、これからも果敢に挑戦を続けていく。