電動ショベルがリサイクル工場を大きく変える

日本の廃棄物リサイクル業を牽引してきた株式会社タケエイ。電動化で更なる進化を図る。

業界の先駆者的の存在

総合環境企業として「資源循環型社会への貢献を目指す」を経営理念に掲げる株式会社タケエイ。1967年に前会長である藤本武志氏が設立。建設現場の土木事業からスタートし、変革と進化により環境事業の分野へと徐々にシフト。現在、建設系廃棄物処理において首都圏で約20%のシェアを誇る、廃棄物リサイクル業界におけるリーディングカンパニーだ。「カーボンニュートラルが社会的な課題となる前から環境保全に積極的に取り組んできました。『混ぜればごみ、分ければ資源』という言葉があるように、廃棄物を可能な限り資源化し、高度循環型社会と脱炭素社会の実現に貢献していきます」と代表取締役会長の三本守氏は語る。

(写真:株式会社タケエイ 代表取締役会長 三本守 氏)

一貫処理システムを構築

 

同社の特徴は、廃棄物処理業務を「収集・運搬」、「再資源化・エネルギー化」、そして「最終処分」まで、すべてをワンストップで行う一貫処理システムを構築していることだ。特に、廃棄物を再生品として蘇らせる「マテリアルリサイクル」や、木質バイオマスや再資源化用可燃物から出る排熱を回収してエネルギーとして利用する「サーマルリカバリー」の積極的な推進など、再資源化・エネルギー化には力を入れている。

同社の先進的な事業を力強く推進するのは、創業者の藤本武志氏から脈々と伝わる「タケエイイズム」だという。「企業を運営していると、さまざまな問題に直面します。当社には『どんなときにも、前を向いて積極的に困難に立ち向かっていく』というタケエイイズムが、DNAとして流れています。大変なことも一つひとつ乗り越えて、現在に至っています」と、代表取締役社長の阿部光男氏は話す。

(写真:株式会社タケエイ 代表取締役社長 阿部光男 氏)

電動ショベルPC200LCE-11を導入

 

従来、粗選別された廃棄物を選別機に投入していたのがエンジン駆動式の油圧ショベルだ。エンジン駆動式にはさまざまな課題があったという。「排ガスが問題となっていました。工場は出入口を開口していますが、それでも限界があり、クリーンな作業環境とはいえない状況でした。また、振動や騒音があるので、オペレーターの体の負担にもなっていました」と、阿部社長はエンジン駆動式の課題を語る。

その課題を一気に解決したのが、2023年11月にレンタル機として導入したコマツの電動ショベルPC200LCE-11だ。PC200LCE-11は大容量・高出力のリチウムイオンバッテリーを搭載しており、静音性に優れ、排ガスを一切発生しない。フル充電で約8時間稼働できるほか、急速充電システムを採用することで継ぎ足し充電による連続運転が可能だ。パワーに関しても従来のエンジン駆動式同様のパワーを発揮するため、業務効率が低下することはない。

見やすく簡単に操作できる充電器

静かで振動もなく、快適に操作が可能

事業本部 川崎リサイクルセンター オペレーショングループマネージャーの桑水流(くわづる)大輔氏は「本当に静かです。電源が入っているのかわからないくらいのレベルです。エンジン駆動式だとうるさいので周りの音が聞き取れず、設備のトラブルなどに気付きにくかったのですが、その問題も解消されました」と静音性を高く評価する。

またオペレーターの朝倉愛子氏は「振動が少なく長時間作業をしてもあまり疲れません。操作もスムーズですね。アーム・ブーム部はまるで自分の腕のように繊細に動いてくれますし、パワーも十分で作業が効率的です」と快適な操作性を語る。

株式会社タケエイ 事業本部 川崎リサイクルセンター

オペレーショングループマネージャー

桑水流大輔 氏

株式会社タケエイ 事業本部 川崎リサイクルセンター

オペレーショングループ

朝倉愛子 氏

十分な安全機能を装備

また、PC200LCE-11に搭載されている機械周囲カメラシステム「Komvision」は、従来に比べ格段に機能が向上している。走行または旋回起動時に人を検知した場合には機械の発進を制御し、低速走行中に人を検知した場合には機械を停止させる。「バッテリー式だと静かですので、現場の作業員は建機が近くにいることを認識できないことがあります。その点、PC200LCE-11は人を検知して自動で止まってくれます」と桑水流マネージャーは安全性について話す。

同社は建機だけでなく、施設や設備の電動化にも積極的だ。「環境に携わる企業として、化石由来の電気を使用することに抵抗感があり、補助金制度を利用して川崎リサイクルセンターに太陽光パネルを設置しました。PC200LCE-11は太陽光発電によって得られるクリーンな再生可能エネルギーで稼働しています」と、阿部社長は施設の電動化について説明する。

(写真:電動ショベルのほかにもホイールローダーなど多数のコマツの建機が業務をサポート)

 

廃棄物処理で能登半島の復興に貢献

同社のグループ会社である株式会社門前クリーンパークは、石川県輪島市での管理型最終処分場の整備・運営を目的として設立された。20241月中旬に開業予定であったが、11日に発生した能登半島地震の震源地のすぐ近くにあるため、多大な被害を受けた。現在は8月からの開業を目指して復旧作業を行っている。「能登半島地震があったときには、居ても立っても居られず、翌日の2日には現地へ駆けつけました。そして処分場の被災状況を確認しつつ、地元輪島市や周辺自治体の復興に貢献してきました。今後、能登半島が復興していくためには廃棄物の処理は欠かせません。そのためにも、門前クリーンパークの一日も早い開業を目指して尽力していきます」と三本会長は語る。どんなときにも、前向きに困難に立ち向かっていく「タケエイイズム」が、能登の復興を力強く支援している。