機械の電動化がもたらす大きなメリット

設計から生産まで一貫した体制を誇る北陸工業株式会社。電動化がものづくりの現場を変えていく。

CO2排出削減に積極的に取り組む

北陸工業株式会社は、およそ100年におよぶ歴史を誇る鍛造品製造のものづくり会社だ。単に鍛造を行うだけでなく、設計から始まり、使用する金型の製作、鍛造後の熱処理、表面処理のショットブラスト、品質の確保、検査、そして出荷まで、一貫した生産体制を持っており、多品種少量生産に対応する。さらに、国内で数台しかない大型の10tハンマーを保有しており、230㎏までの重量物の生産が可能だ。「個々のお客さまのニーズに応えられる万全の体制を整えていますので、図面を1枚いただければ、完璧な製品をお届けすることができます」と代表取締役社長の加藤伸夫氏は語る。

同社では、カーボンニュートラルに向けた取り組みに対して積極的で、エアースタンプハンマーが主流のなか、油圧ハンマーを次々と導入している。これにより電力使用量は半分以下となり、CO2排出の削減に貢献している。

(写真:北陸工業株式会社 代表取締役社長 加藤伸夫 氏)

電動式フォークリフトへのシフト

同社の製造・出荷部門において、それぞれ1台ずつフォークリフトを使用し、製品の管理を行っている。従来、エンジン駆動式のフォークリフトを使用していたが、排ガスや騒音などによるオペレーターへの負担とCO2排出による自然環境への負荷の軽減を図るために、電動式へと舵を切った。2014年に電動式フォークリフトFE25を導入。以降、随時電動式への切り替えを図っている。「電動式フォークリフトは、排ガスは出ませんし、音も静かです。振動も少ないので、オペレーターは快適な環境で作業できるようになりました」と、常務取締役の金山一広氏は説明する。

(写真:北陸工業株式会社 常務取締役 金山一広 氏)

1時間30分程度の短時間で充電できるFE25G

連続稼働が可能なFE25G

同社では日勤と夜勤の二直体制で業務を行っており、工場は24時間稼働。フォークリフトには長時間稼働が求められる。FE25でも長時間稼働は可能だが、鉛バッテリーのため急速充電を一定回数行うと、バッテリー劣化を防ぐためのリフレッシュ充電が必要となる。常務取締役工場長の五十嵐猛氏は「急速充電の回数をきちんと把握していないと、予期しないところでリフレッシュ充電が始まり、現場が止まってしまうようなこともありました」と、鉛バッテリーの課題を語る。

その課題も大容量のリチウムイオンバッテリー搭載のFE25Gの導入で大きく改善された。「FE25Gでは約16時間の連続稼働が可能です。しかも、急速充電による継ぎ足し充電を行っても、バッテリーの劣化に影響しません。充電に関する煩わしさから解放されました」と、五十嵐常務はリチウムイオンバッテリーのメリットを語る。

北陸工業株式会社 常務取締役 工場長

五十嵐猛 氏

快適な乗り心地とコスト削減を実現

FE25Gはリチウムイオンバッテリー搭載により、バッテリーの大容量化(FE25の約35%アップ)、長寿命化(一般的な鉛バッテリーの約3倍)、充電時間の短縮(一般的な鉛バッテリーの電動式フォークリフトだと8時間かかる充電が、1口充電であれば1.5時間、2口充電であれば0.9時間へと短縮)など、さまざまな進化を遂げている。

「バッテリー寿命が長くなったのはありがたいですね。リチウムイオンバッテリーはそれなりの価格ですが、フォークリフト本体よりも長持ちしてくれます。同じバッテリーで2台目のフォークリフトにも使えるので、長い目でみるとコスト削減につながります」と加藤社長は語る。

「乗り心地は、断然いいですね! 振動も騒音もないので、長時間乗っても疲れません。まるで、高級車に乗って作業しているような感じです(笑)。パワーもエンジン駆動式と同じくらいありますので、これに勝るものはありませんね」と、製造部鍛造課係長の諸我健一郎氏はFE25Gを高く評価する。また、「エンジン駆動式はクラッチ修理など機器のメンテナンスが必要でしたが、それが大幅に少なくなりました。手間がかからなくなっただけでなく修繕費の削減にもつながっています」と、金山常務は運用上のメリットを説明する。

北陸工業株式会社 製造部 鍛造課 係長

諸我健一郎 氏

電動建機を適材適所に配置

同社では安全面についても十分な取り組みを行っている。FE25Gはステアリング量から旋回半径を検知し車速を自動制御するなど万全な安全機能を搭載しているが、更なる装備を付加した。「後進の際、青色の光を床面に映し、歩行者や作業従事者に危険を知らせるブルーライトを搭載しました。また、工場内の地面を平らにすることで、フォークリフトの安定した走行を可能にしています。安全に快適に業務ができるよう、自分たちでできることを見つけて、環境整備をしています」と、加藤社長は言う。

現在、4台のFE25Gのほか、FE15や電子制御HST搭載のFH45など、20台を超えるコマツのフォークリフトを導入している。「鍛造工場での作業は移動距離が長く、稼働時間も長いです。長時間におよぶ連続稼働となるため、FE25Gは不可欠ですね。一方、プレス工場ではフォークリフトの使用頻度がそこまで高くありませんので、従来のままFE25を継続使用しています。工場の業務内容に合わせて適材適所のフォークリフトを選定していますが、今後はタイミングを見計らって、随時リチウムイオンバッテリー搭載のフォークリフトへと移行していく予定です」と金山常務は語る。

同社ではフォークリフト以外にも、除雪作業に使用する小型ホイールローダーのWA30やWA40などコマツの建機を導入している。「コマツとのパートナーシップをより強固にし、事業拡大を進めていきたいと考えています。騒音対策として消音タイプの建機の開発が進んでいくことを期待しています。地域の方にも作業員にとっても、大きなメリットになると思います」と加藤社長はコマツに期待を寄せる。

(写真:後進の際はブルーライトで安全確認を行う)

100年後、200年後も続く企業を目指して

北陸工業は、環境マネジメントシステムに関する国際規格「ISO14001」を取得し、地球環境の保全に配慮した企業活動を積極的に進めている。卓越した技術力のもと、人と地域と自然との共生を図り、100年後、200年後も続く企業を目指して、真摯なものづくりを続けている。