24時間稼働を支える電動式フォークリフト(FL)

廃プラスチックの燃料化事業を展開する株式会社北海道サニックス環境。電動式FLで業務を効率化。

北海道の廃プラスチック約15%を処理

株式会社北海道サニックス環境は、廃プラスチックを資源として燃料化するサーマルリサイクルを主幹事業としている。北海道でも屈指の大きさの生産ラインと破砕機を有し、多様な廃プラスチックを受け入れる。1日最大で406tの廃プラスチック処理が可能で、年間で約36,000tもの処理量を誇る。これは、北海道で排出される廃プラスチックの総量の約15%にものぼる。

リチウムイオンバッテリーの電動式FL

廃プラスチックのリサイクルの流れではまず、廃プラスチックを回収し、同社の施設へと搬入する。回収したプラスチックは選別後、破砕機に投入し、50150㎜に破砕。破砕したプラスチックを圧縮し、結束材で梱包・ラッピングし、ベールと呼ばれる一辺1mの立方体へと加工する。このベールがリサイクルの原料となる。ベールは場外の燃料保管ヤードで保管され、適宜納品先へと搬出される。

ベールの移動に利用しているのがコマツの電動式フォークリフトFE30Gだ。クランプ仕様でベールを挟んで運搬している。FE30Gの最大の特徴は急速充電が可能な大容量リチウムイオンバッテリーを搭載していることだ。

エンジン駆動式の課題を電動式が解決

同社は、エンジン駆動式フォークリフトも使用しているが「エンジン駆動式だとどうしても排ガスが発生します。常に換気をしていますが、それでも従業員に悪影響をおよぼす可能性がある。また、エンジン音が大きいためにコミュニケーションがとりづらく、十分な安全確認に手間がかかるという問題点もありました。何より、環境に携わる企業が、排ガスを生み出すエンジン駆動式を使用していていいのか、という思いもありました」と、取締役 環境事業部部長の片野洋一氏は課題を説明する。

同社の産業廃棄物処理工場は24時間稼働で、フォークリフトの1日当たりの稼働時間は20時間。電動式フォークリフトの環境性や静音性に魅力を感じながらも、従来の鉛バッテリーでは十分な稼働時間を確保することは難しいと判断し、導入をあきらめていた。そんな折、コマツから大容量リチウムイオンバッテリー搭載の電動式フォークリフトが誕生したと聞き、導入に踏み切った。

(写真:株式会社北海道サニックス環境 取締役 環境事業部部長 片野洋一 氏)

電動式FLのメリットを実感

導入に際しては、まず鉛バッテリーの電動式フォークリフトをデモ機として試験的に採用。稼働時間や充電に要する時間、および燃料費やメンテナンス費といったランニングコストなど、運用する場合のシミュレーションを十分に行った。

「導入効果は期待以上ですね! 充電時間も長くないですし、静かでクリーン。快適な環境で業務が行えます。ヒーターは多くの電気量を使いますが、バッテリー容量が大きいことと急速充電によって問題なく使えています。電動式はパーツが少ないので、メンテナンスにかかる手間とコストも大きく削減できましたし、ラジエーターの目詰まりの心配もありません」と片野部長は電動式フォークリフトのメリットを語る。

また、充電に関して「1日に3回、お昼の12時、夕方の18時、そして夜中の2時、休憩時間を利用して急速充電を行っているので、業務に影響なく、快適に使えています」と作業現場を取り仕切る環境事業部技術課課長代理の千葉浩弥氏は語る。

株式会社北海道サニックス環境
環境事業部技術課 課長代理
千葉浩弥 氏
高出力定置式急速充電器の操作画面

急速充電を行うリチウムイオンバッテリー搭載のFE30G

効率化の原動力となる電動化の推進

同社ではFE30Gの導入に大きな手ごたえを感じており、2台目の導入を決めている。2台のFE30Gを併用することで更なる業務の効率化が期待できる。また、2台の充電器による2個口での充電で、充電時間をおよそ半分に短縮することが可能だ。繁忙期の急な追加作業などにも余裕を持って対応できる環境が整う。

また、持ち込まれた廃プラスチックの選別作業にはPC138USを使用しているが、大きな移動がないため、有線式電動油圧ショベルへの切り替えも検討している。作業工程の電動化を進め、効率性と環境性を高めていくことが、同社の設備投資における一つの方向性となっている。

十分な安全対策のもと業務を展開

同施設では受け入れた廃プラスチックの移動にコマツのホイールローダーWA100を使用している。場外での使用が多いため、バケットに乗せた廃プラスチックが風で飛ばないよう蓋ができる特別仕様となっている。安全対策も万全だ。従業員が装着しているヘルメットにはタグが付けられており、ホイールローダーとの距離が一定以下になると、ホイールローダーのキャビンと従業員のヘルメットからアラートが鳴るシステムとなっている。また、フォークリフトにはレーダーで人・物・作業車両の接近を検知する衝突検知警報システムが搭載されている。

(写真:バケットに蓋が付いた特別仕様のWA100)

資源循環型社会を目指し社会に貢献

同社は地球環境の保全だけでなく地域社会への貢献にも積極的だ。現在、札幌の北星学園大学による海洋ゴミの調査・研究をサポートしており、海洋ゴミがリサイクル可能かどうかの検査結果を大学側に提供している。「私たちは環境に携わる企業として、プライドを持って業務に取り組んでいます。そして、未来を創造していく若い世代の役に立ちたいと考えています。一方で、人手不足が社会課題となっており、当社も人材確保には苦戦しています。当社の社会的な価値に共感し、一緒に働いてくれる方にぜひ入社していただきたい」と、片野部長は人材に対する考え方を話す。

持続可能な社会の実現のために真摯に取り組む北海道サニックス環境。クリーンで希望にあふれた未来に向け、更なる発展を目指す。