適材適所のICT建機活用で安全・効率的な業務を推進

業務効率化に向けICT化を推進する伸洋土木株式会社。先進的な取り組みが地域の活力に。

地域発展に貢献するために

宮崎県宮崎市にて土木工事、舗装工事、解体工事を中心に展開している伸洋土木株式会社。創業は1978年、代表取締役の米丸順也氏は二代目となる。「地域発展に貢献できる企業でありたい」を企業理念に、社会を支えるインフラ構築に尽力してきた。

同社の最大の特徴といえるのが、県内でもトップクラスの保有台数を誇る豊富な建機のラインナップだ。「当社は、地域社会のさまざまなニーズに応えるとともに、災害時にはいち早く現場に駆けつけられるよう体制を整えてきました。それには多種多様で数多くの建機を保有していなければなりません。どのような現場であっても適切な建機を即座に用意することができます」と、米丸社長は同社の特徴を説明する。
伸洋土木株式会社
代表取締役
米丸順也 氏

ICT建機がもたらす業務の効率化

ICT建機の導入に積極的な同社だが、最初の1台を導入するまでにおよそ1年にもわたる検討期間があった。ICTが実現する業務の効率化に魅力を感じるものの、導入に関わる費用がハードルとなっていたのだ。そこで、マシンガイダンスのレトロフィットキットを採用するなどプランを練り直すとともに、ものづくり補助金などを活用することで2019年にようやくICT建機導入となった。「実際に使ってみると、その優れた効率性には驚きました。丁張りの必要がなくなったのは本当に画期的です。従来は、丁張り設置に丸1日かかることもありましたから、工程的にも人員削減の面からも、大きなメリットですね。また、1m程度の小段(法面の中間に設ける狭い平らな所)での丁張り設置作業は危険を伴いましたが、それもなくなり、現場としてはとても助かっています」と工事課長の黒崎真人氏はICT導入のメリットを話す。

また、せっかく設置した丁張りも、バケットがぶつかったり、柔らかい盛土が原因となって位置がずれてしまったり、改めて設置し直すこともよくあったという。業務が止まってしまうだけでなく、現場スタッフのモチベーションが下がるなどの弊害もあった。ICTの導入によりそれらが払拭され、効率的な業務にまい進できる環境となった。

(写真:伸洋土木株式会社 工事課長 黒崎真人 氏)

多数の保有建機を活かしたICT施工

同社では多くの建機を保有しているという優位性を活かすために、マシンガイダンスのレトロフィットキットを有効に活用している。レトロフィットキットであれば、コマツ製の建機だけでなく他社製の建機にも取り付けが可能だ。新たに建機を購入することなく、初期費用を抑えた形でICT施工を実現できる。同社の強みがそのまま活かされることになる。

「パワーやスピードが必要となる粗掘削では油圧ショベルのレトロフィットキット装着機(マシンガイダンス搭載)で作業し、高い精度が求められる仕上げにはマシンコントロール搭載のブルドーザーで作業します。この組み合わせがもっとも効率よく業務が行えますね」と、黒崎氏はマシンガイダンスとマシンコントロールの使い分けを説明する。

ICTを人材育成に役立てる

また、ICTは業務の効率化だけでなく、人材育成にも役立っているという。社内でICTの業務推進を担当している米丸幹泰氏は「ICT建機で作業をすれば、経験の少ないオペレーターもベテラン同様の業務が可能です。従来は、先輩に教えてもらい仕事を覚えていましたが、ICTであれば業務をこなしながら仕事を覚えることができます。また、先進的な建機を使うことは従業員満足にもつながり、人材の育成や離職率の低下、採用にも好影響があると考えています」と、ICTがもたらすメリットについて語る。

ICT施工を更に加速させるアプリの活用にも積極的だ。工事全体の施工進捗の管理には「Smart Construction Dashboard」というアプリを使い、現場の標高・勾配の計算、施工進捗の計測など日々刻々と変わる現場の状況を3D ビューアーで可視化している。リアルタイムに現場の進捗を管理できるので、業務が終わった後にドローンを飛ばす必要もなく、残業時間の削減に大いに貢献しているという。

(写真:伸洋土木株式会社 米丸幹泰 氏)

スーパーロングフロント仕様の導入

河川での工事が多い同社では、2023年7月にブーム・アームが長くワイドな作業範囲を可能とするPC200LC-11スーパーロングフロント仕様を導入した。河川付近の軟弱な地盤での作業は危険が伴うため、浚渫(堆積土砂の撤去など)工事の際は仮設盛土を行い、建機で安全に作業できるスペースを設けていた。ところが、スーパーロングフロント仕様であれば地盤がしっかりとした堤防の上から川底にバケットが届くため、安全な作業が可能となる。しかも、マシンガイダンスのレトロフィットキット仕様となっているため、業務は一層効率的だ。「仮設盛土も丁張りも必要ありません。堤防の上から安心安全に効率的な業務ができ、とても満足しています」と黒崎氏は語る。

ICT施工を推進し業界を牽引

同社は地域のリーディングカンパニーとして、今後更にICT建機を積極的に導入することを考えているという。「どのような現場でも標準でICT施工が行える体制を整えていきたいです。当社が率先してICT施工を行い、そのメリットを幅広く伝えていきたいです」と米丸社長は語る。

今注目しているのは電動式の油圧ショベルだ。その静音性が地域住民への負担軽減につながるのでは、と期待をかけている。すべては地域社会と共に成長していくために。伸洋土木の先進的な取り組みは、今後更に地域社会に活力を与えていくだろう。

ビジネスチャットを活用しリアルタイムでの情報共有を実現

「電話1本で現場に駆けつけてくれるコマツにはとても感謝しています」とコマツのサポート体制への信頼を語る伸洋土木株式会社 工事係長 向田尚史氏

Smart Construction Dashboardにより現場のさまざまな情報を一元管理