「2024年問題」への対応策として未経験者を積極採用

王子グループの愛知王子紙業株式会社では、未経験者を積極採用。誰もが活躍できる職場を目指す。

王子グループの紙づくりを支える

日本でも有数の水量を誇る木曽川のほとり、愛知県稲沢市祖父江町に敷地329,000㎡(東京ドーム約7個分)という広大な面積を誇る、王子グループの王子マテリア株式会社祖父江工場。愛知王子紙業株式会社は王子マテリアの100%子会社としてその敷地の中に居を構え、王子マテリアが行っている各種紙づくりを支えている。

主な業務は、白板紙(箱などに使われる厚紙素材)の原紙を断裁する加工部門、加工部門で断裁された平判製品(シート状の原紙)を包装する仕上げ部門、その仕上げ部門でつくった製品の保管に使用するパレットを生産し、在庫管理や出荷業務を行うサービス部門、そして原料となる古紙を受け入れ、古紙を溶かしてパルプをつくり出すパルパーという装置に古紙を仕込む原料部門、以上4つの部門に分かれて展開されている。

コマツの製品・サポートへの信頼

2016年、コマツが自社開発のフォークリフトFHシリーズを提案するとともに、メンテナンス契約に基づく万全のサポート体制を整えたことから、“お試し”としてFH50を1台導入した。この1台が起点となり、やがて製品やサポート体制を評価、次々とコマツ製品が導入されることになった。「現在、FH50を4台、FH80を5台導入しています。FHシリーズは生産性向上に大きく貢献しています」と、取締役所長兼業務部長の國廣典敦氏はコマツのフォークリフトFHシリーズを高く評価する。

(写真:愛知王子紙業株式会社 取締役所長兼業務部長 國廣典敦 氏)

FHシリーズのパワーと燃費を評価

FHシリーズは走行駆動系にコマツ独自の油圧システム「電子制御ハイドロスタティックトランスミッション(HST)」を採用している。電子制御HSTとは、エンジンで油圧ポンプを回転させ油圧モーターで駆動する方式のことだ。トルクコンバーター方式のようなクラッチがないので、小刻みな発進・停止の繰り返しや、クラッチによる発熱や滑りロスが発生せず、故障のリスクと燃料消費量の低減を実現する。「古紙の運搬作業は前後進の切り替えがとても多くなります。また、パルパーは24時間稼働です。当社の業務では、必然的にフォークリフトへの負荷が高くなってしまいます。ところが、FHシリーズは頑丈ですね。壊れにくくてタフ。パワーがあって、しかも燃費もいい。とても頼りになります」と、業務部原料課課長の鈴木学氏は話す。

また、ギアがニュートラル状態でないとエンジンを始動できないニュートラルスタート機能や設定したスピードを超えると警告ブザーでオペレーターに知らせる機能など、安全性に配慮した機能も豊富だ。「安全性が徹底していて、年間を通じて安全かつ快適に作業することができます」と、業務部原料課統括係長の岩下一幸氏は語る。

愛知王子紙業株式会社 業務部原料課課長 鈴木学 氏

愛知王子紙業株式会社 業務部原料課統括係長 岩下一幸 氏

万全のサポートで業務をバックアップ

同社ではFHシリーズの優れた性能だけでなく、コマツのサポート体制に対する評価も高い。「コマツ製品が増えている理由は、故障が少ないことや燃費がいいだけでなく、サポート体制が優れていることがあげられます。納品して終わりではなく、柔軟な姿勢でサポートをしてくれます」と、安全衛生環境室室長の箕浦弘行氏はコマツのサポート体制を高く評価する。

(写真:愛知王子紙業株式会社 安全衛生環境室室長 箕浦弘行 氏)

女性の積極的な採用を推進

同社では、いわゆる物流・運送業界の2024年問題への対応策として、女性を含む未経験者の採用を積極的に進めている。「現在、幅広くオペレーターを募集しているところです。未経験者も大歓迎です。フォークリフト免許の取得も全面的にバックアップ。もちろん、免許取得に関わる費用は全額当社で負担します」と國廣所長は人材確保に向けた取り組みを説明する。

女性従業員の約半数がリフト免許取得

同社ではもともと、製品の包装を行う仕上げ部門や検品などを行うサービス部門には女性が多く在籍しており、意志がある従業員はオペレーター職への異動が可能だ。ちなみに女性従業員の約半数がフォークリフトの免許を取得している。女性オペレーターの松山里穂氏は3年前からフォークリフト業務を行っている。「初めてフォークリフト(FH80)を目の前にしたときは、その大きさに少し戸惑いましたが、慣れてくると操作は断然楽しいですね! 上達すると成長を実感できますし、先輩に褒められることがモチベーションにもなっています」と、松山氏はオペレーター業務に対する充実感を話す。女性が快適に働ける環境をより充実させるために、同社では各種施設の整備を進めていく予定だ。

入社してから上司にオペレーターを勧められたというオペレーターの松山里穂氏

松山氏が操作を行っているFH80。約1tのベールを4つ挟み込んで運搬する

機械化を進め更なる効率化を目指す

業務効率の更なる向上のために、今後は機械化の推進やAI技術の導入などを積極的に推進するという。「当社ではフォークリフトなど大型の機械を活用していますが、異物混入防止などの検品作業は手作業で行っています。業務効率を高めるためにも、機械ができるところは機械に任せ、人でないとできないところは人が行い、業務の精度と効率を向上し、生産性を高めていきたいと考えています。また、王子グループは『環境との調和』を目指していますので、CO₂の削減につながる機械の電動化にも取り組んでいきたいです。その点に関しては、コマツの協力がますます重要になっていくでしょう」と、國廣所長はビジョンを語る。

女性を含むすべての従業員が、自身の力を存分に発揮できる快適な環境を日々模索し続けている愛知王子紙業。風通しのよさが企業の成長を支えているのかもしれない。